税理士もりりのひとりごと

税理士もりりがぶつぶつと日ごろの出来事についてひとりごとを綴っていきます





  税理士もりりのひとりごとのナビゲーター   トップページ > スポンサー広告> 税務・会計 > 税に関する日経の社説  

スポンサーサイト

-- - --/-- [--] - --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

税に関する日経の社説

2010 - 11/08 [Mon] - 11:20

 平成22年11月8日の日経新聞社説欄から。

 「着実な法人税率下げで投資を引き出せ」というタイトルの社説が掲載されていました。まあ内容自体は私も常々このブログで書いているような内容ですから敢えて触れる必要はないと思います。

 ただ私が「何言ってんの、こいつ」と思ったのが、この社説の最後の部分で「税務申告で4分の3の法人が赤字という現状は異常だ。中小・零細企業を中心に、所得の適切な捕捉へ納税者番号制度の導入が急がれる。」と書いていることですね。

 もう・・・、新聞記者って時々本当にバカなことを書きますよね。本当に。天下の日経なのに。以前のオーナー企業課税の時の「税理士の節税商品がなくなって税理士だけが文句を言っている」という内容と一緒ですよ。全くなんの裏取り取材もせずに、単なる推測と省庁からの誤った情報だけで社説や記事を書いちゃうなんて、報道に携わる人間として姿勢が甘すぎますよ。

 この文章を書いた人は複数の税理士にきちんと取材して裏取りしました?この文章だけ読んでれば「中小企業は所得隠しばかりしていい加減な申告を行っているから赤字決算になるのだ。じゃあ税金の取りっぱぐれがないように納税者番号制度を導入して中小企業に適切な申告を行わせるべきだ。」という論調に読めますよね。

 お前、本当に中小企業の経営実態がわかって書いてんのか、って思いません?それに中小企業の決算と申告を行っている税理士がそのズルに荷担しているようにも読めますから、税理士に対する失礼にも程がありますよね。

 そりゃあ所得隠しを行っている企業がゼロだとは言いませんよ。中には儲かっているけれども全てを申告していないという会社だってあるでしょう。でもそれは中小企業だけじゃなく大企業だって所得隠しをしているところはあるわけですから、どこでも一緒の話ですよ。やるところはやる、それだけの話です。

 でも今の時代、仮に納税者番号制度を導入して所得がガラス張りになったって黒字申告の会社なんて絶対2分の1を超えませんて。現状の4分の1からびっくりするほどは変わらないんじゃないでしょうか。

 きっとこの記事を書いたヤツの頭では「4分の3の会社が赤字で、その状態が続いたらもっと倒産が多いはずだし、生活できない人が多いはず。そうなってないということは、どこかでズルをして儲けを隠しているからに違いない」と思っているわけですよね。

 だからそこからして全然中小企業の実態とか会計処理とか、税務とかがわかってないんですよ。税理士さんならお分かりですよね、中小の同族会社なら決算書に計上されている役員報酬額が満額支払われていないケースがヤマほどあることなど。

 税法で役員報酬はころころ増減させることができませんから、一旦決めた役員報酬は企業業績にかかわらず期中毎月一定額を支払いますよね。業績が悪くなっても株主総会や取締役会で報酬減額の決議なんかいちいちしないでそのまま赤字決算で申告しちゃいますよね。だって同族会社では株主と役員が同一人物であることが多く、会社が赤字になっても大手企業みたいに株主から文句でることないですからね。

 で、支払われなかった役員報酬はどう処理するかといえば、たいてい未払金で残すか株主借入金として処理しますよね。でも会計上は役員報酬を支払ったことになってますから、源泉は預かったことにして納めちゃいますよね。

 もちろん未払で置いておけば源泉する必要がない、という話はありますけど、どうせ一年後には納付しなきゃいけませんし、めんどくさいから毎月徴収処理しますよね。だったらそういう会社の役員からすれば、実際には給料をもらってもないのに所得税だけ納めてるんですよ。損か得かって言われたら損なケースの方が多いんじゃないですか、多分。

 そういう会計処理や税務の縛りがあり、また株主からの文句もないから中小の同族会社は赤字決算なんですよ。だから「赤字なのに経営者が生活できているのが不思議」なんじゃなくて、もらってもない役員報酬を決算に載せなきゃいけないから赤字になってるだけなんですよ。こんなのキャッシュフロー計算書見りゃ一発でわかる話です。

 中小企業の経営者は自分の給料も我慢して日々始末して始末して無駄なお金使わないようにやってるんですよ。給料もらってもないのに源泉や社会保険料はしっかりと取られて。それのどこが税務上問題だって言うんですか?法人申告が赤字であっても、税務署は十分すぎるくらい所得税を取れてるじゃないですか。

 それを会社の経費をバカバカ使っても平気な大新聞社の一記者ごときにさも悪いことをしているように書かれる必要などこれっぽっちもありませんよ。

 私は新聞社の中では日経は比較的中立で冷静な記事や情報量も多いと思っていますので好きなほうですが、時々完全に情報が偏っているなと感じる記事を見ることがあります。私が税理士だからかも知れませんが、特に税金、税制に関しては課税庁寄りであることを感じることが多いです。
 
 その理由は情報ソースが課税庁からのものが多いことや、記者と個人的に付き合いがある人達が中央官庁や大企業の人であることが多いからでしょう。しかしあらゆる人が読む記事を公に向かって書くのであればやはりその情報が正しいのかどうかを中小企業の経営者や税理士に確認すべきだと思いますね。

 ですから税に関する情報については例え第一報を日経新聞で読んだとしても、私自身は必ず政府税調などの議事録で内容を確認することにしています。なぜなら税に関する報道に関しては、例えば不動産譲渡の損益通算廃止やオーナー会社課税が導入されたときを見ても、あんな大きな改正内容だったのに新聞記事にすらなりませんでしたからね。

 またその後のオーナー会社課税に対する税理士からの批判を揶揄する記事を見てもわかるように、税理士や納税者にとっては著しい内容の洩れや偏りが見受けられます。ですから税制改正に関する新聞記事を目にしたら、その改正が行われる理由はなんなのか、どこが要望を出している内容で、他に重要な改正案件がないのかということを議事録や資料で確認するようにしています。

 本当にもう少し新聞記者には税のことについて勉強して欲しいと思います。国税庁や財務省から出てくる資料だけを鵜呑みにして記事を書くことはもうそろそろ止めて欲しいと思いますね。こういうところから出る資料はマクロ的なものばかりで、記者もそのマクロ資料を基にして記事を書けば高尚な記事を書いている気分に浸れるんでしょうが、役所が自分の都合の良い資料と数字だけ出してきたら本質を見誤ってコロッと騙されてるじゃないですか。

 今から平成23年度税制改正案は大詰めを迎えるはずですが、政府(それも超アホな民主党政権)とそれを利用しようとする財務省官僚の世論操作に荷担することのないよう中立な報道を願いたいところですね。

関連記事

トラックバック

http://moriri12345.blog13.fc2.com/tb.php/697-24163994

 | HOME | 






プロフィール

もりり

Author:もりり
当ブログにお越しいただきありがとうございます、税理士のもりりです。のんびりと、時々辛辣に日々感じたいろいろなことを自由に書いていきたいと思います。

最新記事

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。