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生保は大丈夫ですよ、ご心配なく

2010 - 10/02 [Sat] - 01:56

 なんかネットなどを見ていますと、今回の年金保険二重課税の件について、保険金から源泉徴収をおこなっていた生命保険会社が徴収しすぎた所得税を還付しなければならないので生保の経営を危ぶむ意見を書いている方がいました。

 まあ税理士の皆さんであればこんなことは思わないのかも知れませんけれども、この件を少し聞きかじったような方々の中には完全に事件を誤解していて、まるでグレーゾーン金利の返還請求で青色吐息のサラ金業界のように、多額の税金還付負担によって生保業界がダメージを受けるのではないかと思っているようですね。

 確かに保険金から所得税を天引きして預かったのは生保ですから、そのような意見をいう方も出てくるのかも知れません。また所得税を表面だけ読めば間違えて多めに源泉徴収をおこなった場合には、その源泉徴収をおこなった人や会社、すなわち今回のケースでいえば保険会社が税金を還付しなければならないので、そのように考える向きがあるかもしれません。

 しかしこんなことを広く流布するのは風評被害もいいところで、今回の件で生保業界に与える悪影響なんて皆無です。ただ生保業界は国税庁から契約内容の洗い出しを依頼されているおかげで、要らぬ手数をとらされているだけの話しです。

 というのも今回のケースでは還付手続を納税者に任せていたのでは、そもそもこの事件を知らない人もいるでしょうし、自分がそのケースに該当するのかどうかなんて分からない人が一杯いるはずなんです。また逆に慌てふためいて本来該当するはずがない人が税務署や生保会社に問い合わせにいっても混乱するだけです。

 で、今回のケースに該当する契約内容かどうか、またどれくらいの保険料を支払っていたのかといった情報は生保が一番知っているのですから、国はより効率よく還付手続が行えるように、生保に協力を仰いで該当する契約者をピックアップしてもらって、その人達に生保から通知を出してもらおうとしているだけのことです。

 それに生保は国税庁の指示・指導に従って源泉徴収をしていただけのことで、たとえ今回の判決の結果からみてその源泉徴収税額が高すぎることになっていたとしても生保には何ら落ち度のあった話しではないですし、事実最高裁判決でも生保が高すぎる源泉徴収をおこなった行為に対する責任は全く不問とされています。

 判決に従えば、そもそも悪いのは違法に所得税を徴収しすぎた国税庁、財務省、すなわち国であって、当然支払いすぎた税金を返していくのも国です。生保はただ単に当時の所得税法と国の指示にしたがって源泉所得税を保険金受取人から預かって国に納める役割をしていただけのことです。

 ですから今回国税局が発表した手続指針においても、生保が保険金受取人に対して所得税を還付することなど一言も触れられていませんし、税務署において還付手続を行うとしか書かれていません。だいたい生保が自らのミスや誤解によって源泉所得税を過大に徴収していたわけでもなんでもないのですから、生保には源泉所得税額を還付する責任など何も生じるはずがありません。

 むしろ私の目から見れば、今回のケースでこの保険契約に入れば相続税が課税されない多くの家庭では従来よりも単純に税負担が減るのですから、より有利な条件で残された家族に資金を残すことができる金融商品、節税商品としての保険商品の価値が増したのではないかと感じるくらいです。

 今回の年金保険二重課税還付の案件に関していえば、契約洗い出しと通知書発送という「手間」はかかるものの、生保に与えるダメージは全くありませんし、むしろ保険商品の価値が上がり、さらには今回の件で契約洗い出しなどで協力したという「貸し」を財務省・国税庁に対して作ることができたのではないかと思います。

 ですから生保会社の業績には何の影響もありません。ご心配なく。一番のダメージを受けたのは間違いなく国(税務署、国税庁、財務省)です。

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