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末は博士か大臣か

2010 - 06/11 [Fri] - 23:54

 今日日経の夕刊を見ていますと三井物産の会長が「末は博士か大臣か」というタイトルでコラムを書いておられました。

 内容は、昔は優秀な子どもは将来博士か大臣になるように言われていましたが、今や博士など職にあぶれる時代。ビジネスに結びつく研究だけを評価するのではなく、興味を追求するような研究ができる環境を整えることも大切ではないか、というような話でした。

 なるほど確かにそう感じることもあります。でも私はこの会長の考えとは逆に近いですね。そりゃ好きなことを大学院などで研究し続けて博士号などを取ることができれば素敵なことです。それは芸術家や職人を評価するのと同じ事ですから、世の中の豊かさを測る一つのバロメーターかも知れません。

 でも好きなことを好きなだけ研究するためにはお金が必要です。これは絶対に避けて通ることができません。日本の現状ではほとんどこういった学術的な研究は国公立の大学院などが行っています。そして国公立の費用は税金でまかなわれています。税金を使って研究をするのであれば、残念ながら世のため人のために役立つ研究をしてくれなければ納税者としては許すわけにはいきません。

 例えばここにビートルズの研究をしている人がいるとしましょう。その人が研究を深めたいからといってリバプールに長期滞在したいと費用を要求してきたとしましょう。もしその費用が税金から支払われるとすれば、私は反対しますね。ふざけんじゃねぇよ、って感じです。

 ビートルズの研究程度のことで税金なんか使ってもらっちゃ困ります。そんな個人の興味本位の話に私たちが稼いだお金の一部を使うなんていい加減にして欲しいと思います。その研究がしたいのなら自費で研究するなり、スポンサーを自ら見つけてやって欲しいと思いますね。

 つまりそういうことなのです。税金を使って研究をするのであれば、必ず将来を含めて多くの人の役に立つべき研究をして欲しいのです。事業仕分けと一緒です。税金を使うのであれば必ずリターンが求められるべきなのです。研究者を好きなことに打ち込ませ、その人達が遊んでいてもそこそこ良い暮らしができるために私たちの税金が使われるのであれば感情的に許すわけにはいきません。

 だから世のため人のために役立たない研究や芸術家を育てていくためにはリターンを求めない、いわゆるパトロンのような人達が存在する必要があるのです。公のお金ではできないことでも「面白い」と評価して私財を提供して育成できるような器の大きな資産家が必要なのです。どこかの大金持ちにお金を出してもらって好きなことを研究するのであれば、他人がとやかく言うことではありません。好きにしてもらえばいいと思います。

 そういう資産家を日本に増やしていくためには、もう税制とのカラミを無視して語るわけにはいきません。特に相続税をはじめとする資産税が日本からパトロンの存在を少なくしている大きな原因です。私の住んでいる地域を見回しても、昔ながらの大きなお屋敷が近年どんどんなくなっていっています。

 結局相続税対策で古くて大きな家屋敷を売却せざるを得ないのです。とても素晴らしい、文化財のような屋敷があっという間に更地になり、その後四つ五つに分割されて分譲され、あるいはマンションに姿を変えます。そうやって町からまた一つ素晴らしい風情と文化と歴史が失われることになります。これはとても悲しむべきことです。

 そう考えると日本という国は研究者や芸術家、職人にとってはとても暮らしにくい国です。そして文化が継続していかない国になっています。と同時にお金持ちにとっても暮らしにくい国です。先日も書きましたが、相続税は最高50%の税率ですから大金持ちの場合には先代から受け継いだ財産を倍にしなければ次の世代に同じものを残すことができないのです。これは大変過酷な要求です。だから今の大金持ちは芸術や研究のために多額の寄附をする余裕が無く、多くの財産を次世代に残すことばかりに躍起になってしまうのです。

 そのように世の中に大金持ちがいなくなってしまうと、文化や芸術、そして歴史が失われるのです。確かにそんなものでお腹はふくれないかも知れませんが、しかし文化や芸術、歴史のない社会ほどつまらないものもありません。文化や歴史、芸術は民族にとっての心のよりどころであり宝です。

 今まで悠久の歴史を誇り、世界的にも評価のある文化を育んできた日本も、戦後の高度成長と税制のせいで既に多くの宝が失われてしまいました。確かに階層が固定化するような社会は問題があるかも知れません。しかしそれもバランスの問題です。今の日本では少し資産税に問題があるように感じています。

 冒頭の話のように、研究者を育成して実学だけを研究するだけでなく、もっと面白い研究を育成させるためにも資産税や寄附税制の見直しは不可欠です。お金持ちが次世代もお金持ちでいられる程度の相続税に抑えることができれば、もっと多くの人達が文化や芸術に寄附を行ってくれるでしょう。

 戦後の60年、つまり二世代の間に日本の階層は相当シャッフルされてしまったと思います。このままシャッフルし続けていくのがよいのか、それとももう少し国として懐の深さを身につけていく方が良いのか、この不況で先が見えない世の中だからこそ多くの人が税制や社会規範などをじっくりと見直してもよいかも知れません。

 ただ少なくとも絶対的に言えることは、このままの相続税では日本には文化や歴史を育み、そしてそれを維持していくことはできなくなる、ということです。それを良しとするか、どう考えるか、ということではないでしょうか。

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