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オーナー会社役員給与課税に関する記事

2010 - 01/12 [Tue] - 11:49

 オーナー会社役員給与課税が今年廃止されることになりますが、税制改正に関する新聞記事などでどうにも気になる表現を見つけたものですから意見を書いておきたいと思います。

 平成22年1月12日の日経新聞朝刊の税制改正に関する記事の中に、「税理士会の強い要望によってオーナー会社役員給与課税が廃止になった」とあるところまではよいのですが、その続きに「税理士会にとっては顧客法人への「節税商品」を奪われた格好になっていた。」と書いてあるところは看過できませんね。

 なにをわかったような口して筆者はこの記事を書いたのでしょうね。これはオーナー会社役員給与課税制度を導入しようとした際、反対意見を封じ込めるために財務省官僚や財務大臣が使ったフレーズをそのまま使い回しているだけじゃないですか。本当に自分の頭で理解して書いた記事なの?

 あのね、税理士がこの税制に反対していたのは、「節税商品」がなくなるからとかどうとかそういう話じゃないんですよ。こんなことを節税商品として売り出す税理士も、そりゃあいるにはいるでしょうが、別に私たちは税法というルールに基づいて有利不利を判断しながら仕事をしていますので、税法が変わればそれに合わせて仕事を行うだけのことですよ。

 ただこのオーナー会社役員給与課税については、単純に納得できないから反対しただけのことなんですよ。このオーナー会社役員給与課税は、会社法ができてから資本金が1円(理論上は0円といわれています)から会社を設立することができるので、今までの個人事業者が雪崩を打って資本金の少ない一人法人を設立して役員報酬を法人から受け取れば個人事業と比較して給与所得控除分だけ節税になるため、これを税制上規制しようというのが狙いだったわけです。

 そこまでは私たちだって理解できるんですよ。なのに蓋を開けてみると、会社法制定前から存在している資本金4千万円、社員100人とかの会社までこの課税の対象になってきちゃったりするから税理士がみんな反対したんですよ。そもそもの課税の根拠は「会社法によって個人事業を法人化すること」が節税以外の何ものでもないから許せない、って話だったのに、実際には会社法による節税策とは関係なく設立されていた歴史ある法人まで課税対象になっていて、そこに課税される道理が全くなかったから大反対したんですよ。

 そこにあったのはただ単に会社法にかこつけた「増税」があっただけの話で、会社法制定に伴う一人法人を規制するだけなら、それだけを狙い打ちして課税すればよかっただけの話なんです。狙い打ちしないで関係ない法人まで一網打尽に課税してくるなんて、単なる増税のための税制改正であったことが明らかじゃないですか。

 そもそも「個人事業と実質変わらないのに法人化させることで税額が少なくなるのはおかしい」って立法側はいいますが、それがそもそもおかしいじゃないですか。個人事業と変わらない法人って、そんなこと言い出したら世の中の企業のほとんどがそれに該当しますよ?だって世の中のほとんどの法人が同族会社ですもの。じゃあ同族会社を作ることが「悪」だってことにとらえられかねないじゃないですか。

 じゃあ同族会社は設立させないようにしちゃえばいいじゃないですか。そんなことできます?それって法人の趣旨から言っておかしいですよね?別に気心の知れた身内で法人を作って事業を発展させていこうと考えることになんの問題点があるって言うんですか?他人同士で法人を作って意見の対立から分裂・消滅することより、同族会社で強固に経営を維持発展させていく方が結局は従業員のためにも社会のためにも役立っている面があるんじゃないんでしょうか?

 そもそも節税のためだけに同族会社を作るわけじゃないですよ。逆に仮に節税のために作ったとしてもそれは全然問題ないじゃないんじゃないですか?だって法人課税と所得税課税は別々の法律で定められていて、みんなそれに基づいて税務を行っているだけであって、法人を設立して結果として納める税額が少なくなったとしてもそれはあくまで結果論に過ぎないじゃないですか。

 会社のために働いて会社から給与をもらう、その給与から給与所得控除を引いて税額を計算する、それが当然であるにもかかわらずオーナーだけはそれを許しません、ってそもそも考え方がおかしいじゃないですか。そんな法人と個人をごちゃ混ぜにした税務なんておかしいでしょ?

 本当にこれだったら同族会社は設立するな、ってお上が言っているのと同じことになるわけですよ?なんでそんなことを言われる筋合いがあるんですか。個人事業より法人事業の方が何かと営業も行いやすいし、社会的信用も得られるし、何より法人というオーナーの手を離れた別人格を管理することによって記帳や会計の透明性も増すし、納税面でも少なからず貢献をしていたはずじゃないですか。税務署だって法人の方が課税しやすいでしょ?

 そういう法人化させることの長所や理由を全く無視して、単に税額だけに論点をおいてオーナー会社役員給与課税を行うところに税理士は憤りを感じたわけですよ。それから給与所得控除額などというものは所得税法における概念であるにもかかわらず、それを法人税法に持ってきて一部の法人についてのみ所得税の給与所得控除額を法人税の計算上で加算するなどという、各税法の存在を無視して単なるご都合だけでごちゃごちゃに課税するやり方にも憤りを感じていたわけです。

 こんなことをするんだったら、所得税や法人税を分けて法整備する必要などないわけで、なんのためにこれらの税法が個別に存在しているのかわけがわかりません。たまたま会社法が制定されたから、それによって一人法人が多数設立されることにかこつけて今まで取りたくても取れなかった同族会社の社長から税金を取ろうと画策したとしか思えない、その姑息なやり方が私たちは気に入らなかっただけなんですよ。

 こんなことに気がつくのは税理士くらいしかいないから、税理士が反対したんですよ。だってこの記事を書いた記者もそうですが、他の人は官僚達が用意した資料を鵜呑みにしてこのオーナー会社役員給与課税税制を疑問にも思わなかったでしょ?税制の根拠や影響の大きさがわからなかったから、当時は新聞記事にも取り上げられなかったわけです。

 だから決して税理士は「顧客への節税商品」が使えなくなることで文句をいったわけじゃないんですよ。冒頭の記事を書いた記者も勉強不足にもほどがあります。マスコミにいる人間が事実関係を深く調査しようともせず、一部の政府官僚側の意見だけを面白可笑しく取り上げて記事にするなんて何を考えているのかと思うくらいです。

 日税連とかもこんな記事が掲載されていることには猛然と抗議しなきゃダメですよ。確か同じことがオーナー会社役員給与課税制度が導入された年にも新聞記事で掲載されたはずで、あのときも税理士が自らのエゴだけで反対している悪者扱いされたわけですからね。

 今回も同じことを新聞記事にされて黙っていちゃあダメですよ。オーナー会社役員給与課税に税理士が反対するのは、税理士のエゴによる節税商品を取り返すために反対するんじゃなくて、理のない税制に反対して世の中の公平な課税を要望しているからなのだという姿勢を強調する必要があるんじゃないでしょうか。

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