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印紙税の課税根拠って?

2008 - 09/09 [Tue] - 09:23

 様々な場面において書類に貼られる印紙について疑問に思う方は多いと思います。私もその一人です。印紙税法は税理士の職務範囲に入っていませんから税理士もなぜ印紙税が課税されるのかその根拠をあまり詳しく理解していませんし、当然ながら課税当局などから課税の根拠について詳しく解説をしている書物も見かけません。これは先日ブログに書いた固定資産税とよく似た話に思えるのですが、結局課税当局から見てあまりはっきりと課税根拠を言いたくない税金については基本的に大きな声では言えない裏の理由があると考えるのが適当だと思います。


 なぜ自分が作成した文書に印紙税という税金を納めて購入した「印紙」なるモノを貼らなければならないのか?登録免許税であれば手数料としての側面があることは誰にでも容易に理解できますが、印紙税については手間をかけているのは文書を作成した当事者なのですから手数料としての課税根拠がないことは明らかです。そこでこの理由を私なりに考えてみましたが、そのポイントは「印紙を貼らなかったらどうなるのか、印紙を貼らなければどういう問題があるのか?」ということを考えてみればよいのではないかと思います。


 例えば3千万円の商品の売買が成立して契約書や領収書を発行するとしましょう。そこでもし印紙税が無いとして印紙をその契約書や領収書に貼付しなくてよいとしたらどういうことが行われるでしょうか。多分悪知恵が働く人が同じ契約書や領収書を何枚も発行していろんな人に配ったり、或いは契約金額や領収額を自分の都合のよいように書き換えた契約書や領収書を複数作って場面場面で使い分けるでしょうね。でそれを当然ながら脱税に使うわけですよね。もちろん印紙税という税法が有ろうが無かろうが架空領収書や虚偽の契約書の作成などやる人はやるんですが、それでも多くの人にとってはこの印紙税があるおかげで架空領収書を作る心理的な抑制効果は高いと思います。


 だって3千万円の工事請負契約書を作るのであれば、それを作るだけで2万円(今は15千円)も印紙を貼らなければいけませんものね。ウソの契約書を作るのに2万円も貼るのなんて普通はバカバカしいですよね。「それだったら印紙なんか税務調査があるまで貼らなきゃいいじゃない」と普通は考えるわけですが、実際に調査があったときには税務当局に証拠として見せるために結局そのウソの書類に印紙を貼らなきゃいけないわけですからやっぱりめんどくさい話なのです。


 何故こんな風に思うのかといえば、医師、弁護士、税理士等が営業で受領した金銭については何故か「営業ではない」という変な理屈を付けて印紙を貼付すべき課税文書から外してくるあたりに何となくその理由を見出すことができる気がするのです。どう考えても「営業」であるのは明らかなにもかかわらずこの人達が報酬を得た場合には印紙を領収書に貼る必要がないのです。或いは行政側が作成する文書については印紙を貼る必要がない事などから見てもそう思えるわけですね。


 つまりこういった人たちは遵法意識が比較的強いので架空の領収書など発行する可能性がきわめて低く、従ってこの人達が作った領収書などには印紙を貼って内容を担保させる必要はないということなのではないでしょうか。また銀行振込の場合には金銭授受の事実が客観的に確認できますから、敢えて受領書の発行が求められず、当然ながら印紙を貼る必要もないことから見てもそういう理由を見出すことができるのではないかと思います。


 結局のところ印紙税の根拠というものは「税金の申告の根拠になるような領収書、契約書などを作るときにはえーかげんな内容の書類を好き勝手に作らへんように、書類を作った奴が責任料を払って内容の保証をせんかい!」ということ何じゃないでしょうか。だから税金の計算の資料になりそうにない書類には印紙を貼る必要がないですよね、基本的に。


 まあ課税当局から見れば要するに脱税を未然に防ぐために、そこそこの金額が書いてある契約書や領収書を作るときにはその金額に応じた作成責任代を納めなければならない、というルールを作ったのでしょう。もし印紙を貼付しなければならない書類に印紙を貼付していなければ最低でも1.1倍のペナルティを払わせてその作成責任の重さを認識させる、ということでしょうか。結構ペナルティも他の税金と比較して高いのも自己責任を果たしていないことに対する罰則ということでしょうかね。


 でもあからさまにそういう理由でもって印紙税をかけるんですよ、とは書きにくいもんですからあのような当たり障りのない、というか訳の分からない根拠で課税していることにしているんでしょうね。それはまさに固定資産税の課税根拠と全く同じです。固定資産税は場代が取りたいだけ、印紙税は脱税やその他の犯罪抑止としての書類作成責任を書類作成者に負わせるため、というのが本当の理由ではないかと思います。だって本来的には私的に文書を作成したことに対して税金を支払わなければならない理由などどう考えたって存在しませんものね。


 結局お上から見て文章を作ったという行為に対して金銭的に負担させなければ許すことができない理由があるからこそ印紙税という税金があるわけですよね。つまりそれは何かといえばお上から見て「狡い」と判断される行為、即ち脱税を代表とする犯罪行為を未然に防止する目的があるからではないでしょうか。


 印紙を書類に貼りたくなければ契約書や受領書を作らなければよいわけですよね、極端な話。だって法的には書類を作らなくても契約や金銭の授受の事実は有効なわけですからね。しかし一般的に契約内容や金銭授受の事実の証拠として契約書や領収書は作りますよね、だってそれがないと第三者に対して客観的に内容を示せませんからね。


 課税当局としても客観的な証拠書類がないと事実確認が出来ませんので、納税者側も課税当局や第三者にその内容を証するためにこういった書類を作成しますよね。結局そういった契約や金銭授受の事実を「書類で証明したいのであれば」その書類に「証明手数料」を払いなさい、そうすればお上だって認めてやるで、ということでしょうね。


 印紙税の根拠を「金銭受領による担税力」に求める説を時々見かけますが、これは全くの課税サイドからの詭弁を鵜呑みにしているだけでしょう。だって担税力に課税根拠を求めるのであれば、なぜ契約書を作成するときに本書と請書の両方に印紙を貼る必要があるのでしょうか。売手と買手がいる場合、通常担税力があるのは金銭を受取り利益を得る売手側に決まっています。買手は多額の金銭を支出するわけですから担税力などあるわけがありません。


 担税力に基づいて課税されるので有れば印紙は売手側だけが契約書や受領書に貼ればよいはずです。そう考えると印紙税の課税根拠は本来的に金銭授受に基づく担税力にあるわけではないのです。「もし貼らなかったらどういう弊害があるか?」ということを考えると本当の課税目的が見えてくるわけです。印紙を貼らない契約書や領収書があると課税当局や公安当局にとってどのような問題があるか、そういう側面から見れば印紙税の位置づけがわかりやすくなるのではないかと思います。


 要するに印紙税の課税根拠は「悪いことが行われやすい場面で作成される書類には証拠としての能力を持たせ、かつ書類作成者に内容に応じた作成責任を負わせるために一定の金銭を納めさせる。」と理解するのがベストだと思うのですがどうでしょうか。だから不正が行われにくい場面で作成される書類には印紙が要らないわけです。当然行政側が作成する契約書などには印紙は要りませんからね。なぜなら行政側が脱税を行うことなど先ず考えられないという頭があるからです。


 まあ「印紙でも貼らせておかないと一般大衆は何をしでかすかわからない。」という官側から見た不信がそもそもの印紙税の根拠でしょうね、多分。「これだけの金額の行為を行ったということを他人(当然税務当局を含む)に対して自分自身で証明したいのであれば、それだけの担保を国に支払え。」ということでしょうね。まあ何となくわかるような、やっぱりふざけてるでぇという微妙な税金ですよね。まぁしかし印紙税とは課税側からすれば実に取りやすい税金ではありますし、官から見た民に対する不信からできた税金と言うこともできるかも知れませんね。

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