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インボイス制と電子帳簿

2022 - 05/17 [Tue] - 22:53

インボイス制と電子帳簿、なんてタイトルをつけてブログを書こうとしていますが、近い将来に私自身が直面するであろう内容にもかかわらず私自身がイマイチよく分かっていない内容に関するものです。

いえ、もちろんどちらも概略は理解しているつもりです。理解しているつもりなのですが、研修受けたり資料を読んでいたりすると「これって本当にできるのぉ??」と思う疑問が湧いてきてしまい、最終的には「これを行う目的はなんなの?なんでこんなことしなきゃいけないの?」という怒りにも近いモヤモヤとした感情が湧いてきてしまったんです。

インボイス制も電子帳簿も、個人的にはどちらもとても意義のあることだと思っています。インボイス制については私が以前からこの件について書いてきたように、複数税率の元においては仕入控除は帳簿だけによって計算するのではなくインボイスという証票に基づいて集計すべきだと思っています。

それもできれば消費税の申告においては、今のように帳簿を元にして申告書を作成するのではなく、少なくとも仕入控除額についてはインボイスから集計された税額を控除するようにすべきだと思っています。理由は「そうすることが一番正確」「インボイスを集計するだけなので簡単」だからです。

それと電子帳簿に関しては、もうこれはいうまでもなく省スペースと資料を探し出す省力化のためには絶対的に必要なものだと思っています。実際、私の事務所ではもうこの数年書類で申告書や資料を保存していることはありません。全部スキャンしたpdfファイルで保存し、クラウドも含めて複数のバックアップを保存することにしています。

なので電子帳簿、というか電子ファイルは私の事務所にとってももはや不可欠なものなので電子帳簿を国税が推進しようとしていること自体はとてもいいことだと思います。

た・だ・し・・・、どちらも問題なのはその内容です。

インボイス制についてはその意義自体は先ほどのように個人的には理解しているつもりなのですが、よく分からないのが今後間違いなく導入されるであろう電子インボイスのシステムなんですよね。正直言って電子インボイスのシステムや処理のイメージが私にはさっぱりできません。たぶん税理士を含めた世の中のほとんどの人も電子インボイスというものが具体的にどんなもので、日々どんな操作を行い、そしてそれをどんな風に申告に使っていくのか?という点について理解し、イメージを持っていないと思います。

つまり、紙のインボイスについてはそれなりにイメージもあって、どう使うかもまあ分かっているのですが、電子インボイスについてまったくイメージも理解もできていないので、インボイス制そのものが私の中では雲をつかむような状態になってしまっているのです。

まず一つ目の理解できない点としては、電子インボイスのシステムは全事業者が導入すべきものなのか、する必要がないものなのか?ということ。

ある事業者は電子インボイスで処理を行い、別の事業者は紙のインボイスで処理を行う。また電子インボイスを扱う事業者であったとしても、その売上先の事業者が電子インボイスに対応していなければ紙でインボイスを発行せざるを得ませんが、そういう売上先ごとに異なる面倒くさい対応をしてくれるのでしょうか?

基本的にインボイス制は仕入控除の集計を正確にするためのものと理解しているのですが、それで間違いないですよね?だって個人客相手の売上がほとんどの事業者だったら、たとえ課税事業者であってもインボイスを要求するお客なんかほとんどいないはずなのでインボイスを発行する機会が極めて少なくなります。そんな状況であれば、希に要求してくる客に対してインボイスなんか紙で渡せば十分だし、電子インボイスのシステムをお金払って導入するなんて、バカバカしいことこの上ないです。そんな事業者は当然売上高は従来通りの帳簿による集計で申告することにならざるを得ません。

また、もちろん電子インボイスなんて高齢の事業者には到底扱えるようなものではないですから、全課税事業者に導入を義務づけることは不可能でしょう。操作上の問題もありますし、先ほどのようなコスト上の問題もあります。

でもこれだと本当に困ってしまうんです。以前から申告書の電子申告などで私が何度もブログに文句を書いてきているように、電子で処理できるものと書類を別送するものとが混在していたりすると強烈に処理が複雑に、そして面倒くさくなるのです。電子なら100%電子で、紙なら100%紙で処理をする方が現実的には絶対的にラクで間違いを減らせるんです。

だから大手やそこそこの企業から仕入れたものについては電子インボイスでデータを受取り、それ以外の中小事業者からの仕入については紙で申告する、なんてことをやるのはものすごい拒否感を感じるんです。これは毎年の個人確定申告でやってる医療費控除と同じようなもの。

確かに社会保険事務所などから送られてきた医療費の集計表を利用すれば便利です。便利ですけど中には期間の合計を集計していないものがあったり、あるいはなによりも保険適用のものしか集計されていませんので、自由診療や薬局で買った薬などに関してはまったく対象外です。

なので我々は毎年あの集計表が送られてきたら、お客さんから預かった医療費の領収書といちいち照らし合わせて「これは集計表に含まれているか、いないか」をチェックしながらやってます。「だったらそんな面倒くさいことしないで、紙の領収書だけで集計すればいいじゃない」と言う方がいると思いますけど、お客さんが全ての領収書を持ってきているかどうかという保証はないんです(笑)。

だから紙の領収書が一部なくても、役所からの集計表には保険適用のものについては全部載っているはずなので、集計表も参考にしてしまうわけです。集計表がない時代であればお客さんが持ってきた領収書だけ集計すればそれでよかったのに、ヘタに集計表を持ってこられるとそっちの内容もチェックしないといけなくなっちゃうのです。これが実に面倒くさいんです。

だから機械で集計してくれるのなら100%機械の集計の資料だけで、紙の資料を集計したものでいいのなら100%紙の資料の集計だけにして欲しいんです。結局両方をチェックしないといけなくなるんで作業が2倍にも3倍にも大変になるんです。

インボイスも同じようになっちゃうんじゃないかというのが私の最大の懸念です。電子インボイスを導入することで納税者や税理士の手間がラクになるのであれば大いに導入賛成ですが、煩雑になって大変なだけであれば、単純に反対しますし、大いに文句も言います。

税務申告や申請のような電子システムだったら本当に大歓迎です。何度もこのブログに書いていますように、私としてはここ20年くらいの中での最大の革命は電子申告だと思います。もちろんそれ以前はオフコン・パソコンによる会計処理の導入が最大の革命だったと思いますが、これらによって我々税理士や会計処理を行う担当者や自分で申告を行う人にとっては格段に作業がラクになりました。

消費税の申告や集計もインボイスによって革命的に簡略化・省力化できるのであればよいのですが、もうなんか、考えれば考えるほど「なんのためにインボイス制を導入しようとしているのか?」という点が分からなくなってくるのです。

それは電子帳簿に関しても一緒。なんだか「レシート一枚一枚スキャンして、それをすぐ検索できるように取引先や日付をつけて保存しろ」とか、もう意味不明なんです(笑)。

実は私のお客さんで電子帳簿法のように全ての領収書やレシートを電子データにして渡してくれる法人があります。確かにメモリー1つで年間の資料が全部入っているのですからものすごく受け渡しはラクになりますが、これを見ながら会計処理を行うのはもう大変。

紙のレシートや領収書を見ながら処理するのよりはるかに時間がかかるし、なによりも目と脳が強烈に疲れます。皆さんもご経験があると思いますが、スマホやパソコンの液晶画面を見続けたことによる脳の疲れ、というかどこからともなく襲ってくる気持ち悪さというか不快感、は本当に人間を心底疲れさせるんです。

だからもし全てのお客さんが入力資料を全部スキャンして渡してくれるようになったなんて想像したら、ある意味ゾッとする部分すらあるんです。

いや、確かにそれを解消するためにはそれぞれのスキャンしたファイルにその内容の日付や取引先を付しておけば探すのはかなりラクになりますよ。でも、そんなことをお客さんが自分で全部やらなきゃいけないのか?ってことが最大の難所なんです。

やってみればわかりますけど、レシートを一枚ずつスキャンして、そのファイル名をいちいちつけて保存するのって、相当大変な作業ですよ。電子帳簿保存法という法律によって、電子帳簿化が義務化されるからといって、そんな大変な作業を全ての事業者さんがやらなきゃいけないのか?ってことなんです。

インボイス(=電子インボイス)も電子帳簿も意義としては理解しているつもりですが、内容をちらっと聞いただけだと「なんでそんなことをする必要があるの?なんでそんなことを全ての納税者に強いる必要があるの?」というところが理解できなくなってくるんです。

そもそもの話として、これらのシステムを導入することで税務署は仕事がラクになるんでしょうか?もちろんラクになると思っているからこそ導入するのだと思いますが、本当にラクになるんでしょうか?

電子帳簿に関しては、いずれ申告か税務調査の際に全ての帳簿を電子で提出させることを想定して作られたものだと思います。理由はもちろん「そうすれば税務調査が全部ネットで完結するのでラクだから」。でもそのための日々のスキャン作業を行う方の身にもなってほしいです。

一体国税は未来のビジネスや領収書や帳簿の姿がどんなものになると予想して電子インボイス制や電子帳簿制を進めて行こうとしているのでしょうか?それがあまりにちんぷんかんぷんなので、これらのことを考えるとスマホの画面をずっと見ているときくらい頭が疲れてきます。

日本国内の全署挙げて電子インボイスと電子帳簿を強力に進めて行こうとしている姿勢は強く感じるのですが、本当にそれに生身の人間がついてこれるのかどうか、とても不安と疑問に感じています。

国税は将来の税務の現場が一体どのような姿になることを想定しているのでしょう??全部の売上と仕入に関する資料を電子インボイスと共通する仕組みを通じて把握できるようにしたいのでしょうか?そんなことができるんでしょうか?

もうなにが目的かわかんないです・・。

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