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クラウド会計は便利で素晴らしいとは思いますが・・。

2018 - 08/07 [Tue] - 13:18

以前もブログに書いたかも知れませんが、私はクラウド会計にもたぶん他の人より早く取り組んできたこともありますし、税理士事務所におけるネットを利用した事務処理についてはいろいろと試行錯誤してきたつもりです。が、それでもクラウド会計についてはイマイチ好きになれません。

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これは、クラウド会計の使い勝手が悪いとか、性能が悪いとか、そういう品質や性能自体の問題とは全く次元が異なる話です。正直言えば、使い勝手がデスクトップソフトレベルになってくればクラウド会計を使うのが最も理想的だとは私も思っています。だからこそ数年前に一生懸命クラウドを利用した会計処理を模索していたわけですからね。

使い勝手という理由ではないクラウド会計を避けたい理由は、「会計データがどこのだれが持っているかわからないサーバーに保管されているから」ということと「会計データがクラウド会計事業者の手に渡ってしまうから」ですね。つまりデータ保存の安全性の問題と、流出・二次利用されることに対する心配や懸念がとても強いわけです。

フェイスブックをはじめとしたクラウドサービスでしばしば問題となるのは、顧客の情報がクラウドサービス会社の外部に流出してしまうことです。というより、フェイスブックをはじめとするクラウドサービス会社は顧客の情報を第三者に提供して情報提供料を得る商売を行っていますので、クラウドサービス会社に情報を渡すということは自分が知らない第三者に自分の情報が商売のネタとしてダダ漏れになっているってことなんですよね。

クラウド会計についても同じで、そのサービスを使っている我々関与先さんの会計データというのはそのクラウド会計の運営会社のサーバーに全て蓄積されているわけで、会計処理の内容から決算の内容までそのクラウド会計運営会社に把握されているわけです。事業者は中身を見ようと思えばいくらでも見ることができますし、データのコピーを取ろうと思えば一瞬にして取れます。そしてそのサービスを利用する事業者が増えればそこに集まってくる情報も莫大なものになります。

しかもそのサーバーは誰が管理して、どこの国にあるサーバーか、ユーザーには全くわかりません。サーバーが設置されている国によっては法律がめちゃくちゃで、データの保管・管理・流出・盗用といったことに関してほとんど法整備がされていないところもありますので、もしそんなところにサーバーが設置してあれば、いくらクラウド会計事業者が「弊社のクラウドサービスはセキュリティは万全です!」と言っても、サーバー所有事業者がデータをじゃんじゃん流出させる可能性があるわけです。

関与先がクラウド会計に日々入力している仕訳内容を分析すれば、どんな電話会社やどんな事業者がビジネスに利用されているのかといったことや、その利用金額まで分析することができます。はっきり言って個人情報以上に重要な情報が事業者によって把握される恐れがあるわけです。今どきは預金情報からカード利用内容まで自動でクラウド会計に取り込める仕組みまであるわけですから、関与先の預金の動きや預金残高、そしてカード利用の内容まですべてクラウド会計事業者に渡すことになるわけです。

そんな重要な情報は、お客さんも「税金を申告するための会計処理を行わなきゃいけないから税理士に見せている」わけであって、まさかそんなプライベートな情報が税理士以外の第三者に見られてるなんて思ってないんですよね。でもそうやってクラウド会計を使えば世の中の事業者の様々な情報をクラウド会計運営会社は膨大に収集することが可能になり、クラウド会計運営会社がその情報の分析内容や集計内容、あるいは事業者それぞれの個別情報を二次利用することで大きなカネと力を持つことになるわけです。

そういう関与先の会計データ収集や分析を会計ソフト運営会社が行うことをなぜ気持ちよく思わないかと言えば、既に日本にはオフコンの頃から会計データを本部に集めて、その内容を処理・集計・分析することで情報を作り出し、その情報を提供することで支配力を強く持った会計サービス事業者が実際にいるからです。結局クラウド会計運営会社もその会社と同じことをしようとしているのだと思うんですよね。便利な会計サービスを広く提供する、と見せかけておいて、その事業者の本当の狙いは「膨大な会計処理内容や会社の情報を収拾することによって、そこから生み出される情報を握ることで強大な力を手に入れたい」ところにあるのだと思います。

フェイスブックもツイッターもカード会社も、クラウドサービス・ネットサービスを提供している会社はどこもそうやって膨大な顧客情報を集めることで、その情報を分析して外部に提供することで大きな力と資金を手に入れていますよね。で、我々税理士は顧客の詳細な会計情報までそういう事業者のデータ分析・金儲けのネタとして提供するべきなのか?というのが私の素朴な疑問なんですよね。

もちろんそれと平行して、やはりまだクラウド会計はスタンドアロンのソフトに比べると使い勝手が悪いというのも使わない大きな理由ですが、ただ仮に使い勝手が良くなったとしても、いま書いた理由でクラウド会計はできる限り使いたくないわけです。クラウド会計は、会計サービスだけにとどまらず税務申告のサービスまで提供し始めているようですが、そうなると会計から税務申告内容まで、すべてがクラウド会計事業者に把握されてしまうことになってしまいます。これでは税理士の守秘義務もクソもあったもんじゃありませんし、税理士はもはやクラウド会計運営会社に関与先の会計・税務情報をせっせと提供している下請け業者になっちゃいます(笑)。

それにそもそもの話をすれば、会計処理は関与先と税理士事務所の両方で処理を行う必要がありますのでクラウドを利用する意味がありますが、税務申告処理に関して言えば税理士事務所単独で処理を行うわけですからクラウドで処理する必要がありません(もちろん税理士法人で支店が複数あるような事務所は話が別ですが)。問題は消費税などの申告処理の際に会計ソフトからデータがスムーズに取り込めるかどうかが問題になってくるだけのことです。ほんと、税務申告をクラウドで行うのは個人開業の税理士事務所にとって機能的なメリットはほとんどないですから、データの保管場所がどこにあるのかというリスクをよくお考えいただきたいなと思います。

でもクラウド会計が心配だとすれば、じゃあどうやってお客さんの会計処理の利便性を高めるの?といえば、別の記事に書いたようにうちの事務所としてはリモート操作などの別の方法によって解決していきたいと思うわけなんです。やっぱり会計データなどという関与先の最も重要な情報はわけのわからないクラウド会計運営会社のサーバーに保存するのではなく、お客さんか事務所で保存して外部に流出しないようにしたいのです。

だって上場会社だって例え株主であったとしても会計帳簿なんていちいち見せませんからね。たかが千株持ってるような連中に会社だって会計帳簿なんて見せませんよ、そんな大切な情報。それにいちいち株主に帳簿見せてたら大変でしかたないし。つまり帳簿の内容、会計処理の内容ってものすごく大切な機密情報なんです。例え吹けば飛ぶような中小事業者の会計情報であってもそれを膨大な数集めればものすごい情報が集まるんです。だって一つの事業者でどんなに少なくても1千件くらいの仕訳数はあるわけですからね。それがクラウド会計の利用者が100集まれば、最低でも10万件の情報が集まるわけです。

私たち税理士は日々の業務を通じて、自分たちが扱っている会計情報というものがどれくらい重要な意味と価値を持っているものかということを知っていると思います。そしてその重要性を知っているのであれば、その大切な情報を第三者に預けて管理させるということがどういう意味を持っているのかということにもっと注意を払ってよいのではないかと思います。

なので、できる限り私としては会計データは自分や各顧客の管理の及ぶ場所に保存しておきたいと思っています。そのためにクラウド会計以外の利便性のある処理方法を色々と模索していきたいですね。会計ソフト会社さんにも、クラウド会計のほうが開発や管理が楽だというのはわかりますが、クラウド会計ばかりに力を入れず、スタンドアロンを利用して複数事業者のプライバシーとセキュリティを確保しながらネット処理できるようなソフトの開発や利用方法の提案を積極的に行って欲しいと願います。というか、会計ソフトに関してはクラウドサービスを利用しても、データはこちらが指定するパソコンに保存するような仕組みにして欲しいですね。それならいいです。

あるいはサーバーを私達税理士事務所自身が設置管理できるようなプライベートクラウドサービスにするのなら、クラウド会計は理想的な会計・税務処理方法になりうるかもしれません。ただその場合も、事務所の片隅にサーバー機をおいて素人が管理するのはそれこそ外部からの攻撃に対して非常にセキュリティが脆弱になりますので、現実的にはクラウドサーバーを外部の事業者からレンタルすることになると思います。そのサーバーに会計ソフトや税務ソフトをインストールして、それをネット経由で利用することになろうかと思いますが、そうなるとやっぱりそのサーバー運営会社の信頼性やサーバーの設置場所(国)の問題をクリアさせる問題は残ります。

しかしそれでもクラウド会計を運営している会社のサーバーに会計データを保存するよりはデータの二次利用や流出の心配はかなり減らせるんじゃないかと思いますね。その理由は、一つの事務所がサーバーを使っている限りにおいてはそこに保存されるデータも高々しれていますので、そこからデータが盗み出されたり二次利用されたとしても第三者から見たデータとしての有用性や魅力がそれほど高くないからです。

クラウドサービスがこれからの時代の主流になる、と言われてからかなりの時間が経っていますし、実際世の中はクラウドサービスがものすごく広く普及しています。それはもちろん承知していますが、クラウドは結局全ての情報を外部に預けています。クラウドサービスを利用する怖さ、というか、誰がどうやって我々の情報を利用して外部に売って儲けているのか、というカラクリについて一度じっくりと考えてみる必要があると思いますし、顧客のデータを税理士事務所としてどう守っていくべきなのか、ということをいま一度しっかりと考えてみる必要もあるように感じます。

フェイスブックを見てもわかりますように、クラウドは画期的に便利です。ただその便利さにどういうリスクや心配があるのかということは今のクラウド全盛時代だからこそ、改めて考える必要もあるのではないでしょうか?

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