税理士もりりのひとりごと

税理士もりりがぶつぶつと日ごろの出来事についてひとりごとを綴っていきます





  税理士もりりのひとりごとのナビゲーター   トップページ > 税務・会計 > 消費税は増税時にみなし課税による複数税率導入?  

消費税は増税時にみなし課税による複数税率導入?

2015 - 10/25 [Sun] - 20:57

先週の新聞記事を読んでいますと、2017年4月に消費税を10%に増税する際に同時に導入されると検討されている軽減税率について、「みなし課税」を導入する案が浮上してきているようですね。要するに現在の簡易課税制度みたいな感じに、軽減税率についても各事業者ごとにみなし課税を行なうみたいなようですね。

しかし、新聞記事を見ていてよくわかんないのは、「インボイスに基づく複数税率を導入するには、税率ごとの区分経理が必要」なんて書いてあるんですけど、これ、違いますよねぇ?

いえいえ、私もインボイス方式についてしっかりと理解できてないんで間違ってる可能性が高いんですけど、私の理解では、インボイス方式って記帳に基づかないで消費税取引にかかるインボイスだけを集計して納税額を算出する制度ですよね?日本で現在行われているのは記帳方式という、世界的には珍しい制度で、他国ではインボイス方式が一般的なようです。

で、日本はインボイス方式じゃないんで、記帳に書かれた課税取引を集計して納税額を算出する仕組みになっているわけですが、そもそもインボイス方式を採用すれば消費税の納税額って記帳とは無関係に算出できるはずですものね。だからインボイス方式に基づいて消費税の申告を行うのであれば、もとより区分経理など行う必要はないはず。理屈で言えばそうなるはずなんですけど、違うのかな?

いえ、つい先日もルクセンブルグに駐在していた、という友人と喋る機会があったのですが、その友達も「なんで日本でインボイス方式云々で揉めているのかさっぱり理解できない。ルクセンブルグだったら、どんな小さなお店に行ってもインボイスはどこでも発行してくれる。そんなのレジ(コンピューター)に登録してパパパってレジを打てば自動的に印刷されるようなものなのだから、じいさんばあさんだけでやってる個人商店でもどこでもすぐ発行できる。」と言います。

続けて「あんなものがめんどくさい、なんて言ってるなんて絶対おかしい。むしろあんな簡単な制度が導入できないほうが遥かにおかしい。だってイタリアだってどこだってやってることなんだから、なんで日本人が工夫してやろうとしないのかまったく理解に苦しむ」と言います。

いや、確かにそうだと思うんですよね。結局インボイス方式に反対している方たちは、インボイス方式の悪いところだけを強調しているとしか思えないんですよね。そもそも私達税理士自身、インボイス方式がなんたるか、がいまいちわかっていません。インボイス方式のことを、現在の日本の記帳方式の変形版のようなもの、あるいは記帳方式を少し工夫させるようなもの、と思っている人も実は少なくないのではないでしょうか?その誤解は、私達税理士がこの20数年間日本独自の「記帳方式」に基づく消費税申告制度にどっぷりと慣れてしまったからだと思うんですよね。

インボイス方式って、その記帳方式とはまったく異なる申告制度なんですよね、確か。インボイス方式って、単純に言えば、自分がお客さんに売った時の売上に関するインボイス(消費税領収書、「税額票」とも新聞では最近呼ばれています)の控えから売上にかかる消費税額を集計し、そこから仕入れを行った際に仕入業者から受け取った仕入れに係るインボイスに記載された消費税額を集計したものを差し引きし、残った金額を申告納付する、という制度ですよね?仕組みを考えてもらえればわかるように、これだと益税がまったく生じないシステムなんです、本来。

だから、記帳など無関係なので、基本的にインボイスさえあれば消費税の申告納付はできるんです。めちゃくちゃ簡単な制度なんですよ、本来。日本みたいに法人税の申告や決算を行なうための記帳を行なう際に、そこに消費税率を同時に記帳して、それを云々して、みたいなめんどくさいことはしないんですよ。決算なんかできなくても、インボイスさえ集計すれば消費税の納税額は計算できる、そんな制度なはずなんです。記帳と絡んでいないので、益税が生じる余地もまったくないんですよね。

そう考えれば、インボイス方式って、めちゃ簡単なんですよ、申告自体は。ただ、一点だけめんどくさいのは各事業者がインボイスを発行することなんですよね。インボイス制度に反対する人たちは「免税事業者はインボイスを発行できないから、取引から除外されるおそれがある」って言いますけど、これも詭弁であることは何度もこのブログに書いたとおりです。そんなのははっきり言って全然問題じゃないんです。

ただ、インボイスを各事業者が新たに発行しなければならないのは面倒だと思います。しかし、それもこれから新しいレジシステムを税率アップに合わせて導入するのであれば、実はそれほど難しい話ではないのかもしれないとも思います。また、インボイス方式における「インボイス」は、いわゆるお店でモノを買った時にもらう「レシート」とは異なる別の書類になるのですが、これだって税務申告が必要な事業者に対してレシートをもう一枚発行するなどしてそれをインボイスとして利用する工夫を考えれば、それほど大変なことではないようにも思うんです。

なんで日本よりいろいろな面で劣っていると思われる海外諸外国でインボイス方式による納税ができて、日本にできないのか、そこがそもそもおかしな話なんですよね。記帳方式に過度のこだわりがあるからインボイス方式の可能性を狭めているだけのことで、実際には世界中どこの国でも「消費税はインボイス方式、法人税と決算は記帳に基づいて」というやり方でやっているはずなんですから、日本もその「世界標準」に基づけばいいだけなんじゃないでしょうか?違いますかねぇ?

それに新聞の記事でも、「将来のインボイス方式の本格導入を見越して、17年からは簡易な方式の導入を」とか書いているわけですけど、それもおかしいと思うんですよねぇ。インボイス方式による複数税率を導入するのなら、最初からきちっと制度設計をして行なうべきだと思いますね。そんないい加減な簡易方式なんかでやると、また益税問題が出てくるだけで消費税の税率アップの目的があやふやになるだけ。

また簡易な制度に慣れると、事業者がインボイス方式への抵抗感が増えるだけになるので、インボイス方式を導入するのならしっかりと最初から本格導入して欲しいですね。そもそもそれが一番益税を防止するためにも役立つわけですしね。

それからもう一点。先日別の記事で「消費税の軽減税率は8%にはこだわらない。9%でもいいと思う」といった政治家がいたようですが、9%なら軽減税率の意味がほとんどないんで、それはやめましょう(笑)。1%しか税率が違わないのなら、そんなためにインボイス方式を導入したり、あるいは複雑な記帳方式を導入する社会的コストのほうが遥かにムダですから、それだけはやめましょう。

まあ、この時期の消費税に関する議論は打ち上げ花火的なところがほとんどだと思います。なので、新聞に書いてあるからといって、それがそのまま実際の制度になるとは思わない所も多いですが、しかし、いろいろと実のある議論を進めて、将来的にも継続可能な消費税制度を作り上げていくことが大切なのではないかと思いますね。

関連記事

トラックバック

http://moriri12345.blog13.fc2.com/tb.php/2560-8766a80e

 | HOME | 






プロフィール

もりり

Author:もりり
当ブログにお越しいただきありがとうございます、税理士のもりりです。のんびりと、時々辛辣に日々感じたいろいろなことを自由に書いていきたいと思います。

最新記事

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード