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景気の話

2007 - 10/04 [Thu] - 08:17

 最近行く先々で「最近のよその会社の景気はどう?」と訊かれることが増えました。ちょっと前であればこれはきっと「うちも悪いけど、よそはどれくらい悪いの?」という意味合いで聞かれることが多かったと思うのですが、最近のは「世間では景気のいい話ばかり聞くけど、ホント?」という意味合いだろうと推測します。


 私がかかわっている顧問先などを見ていると、はっきりとした傾向が見て取れます。それは「二極分化」。東京、大阪、名古屋など地価上昇がバブルの頃のように凄い大都市であれば状況は違うのかも知れませんが、私がいる神戸あたりではこういう傾向が強いのではないかと思います。比較的社員数も多く商売の規模も10億円を超えるくらいの会社であれば明らかに業績は以前と比べて改善されています。ところが年商数千万円くらいの小規模の会社に関して言えば年々業績は悪化する一方です。特に地場の商店街のお店などは良くて現状維持、通常は年を追うごとにどんどん悲惨な状況になっていっています。


 そういうことで冒頭の質問を受けたとき、私はいつも「そうですねぇ、二極分化が激しいので、私の感覚からすれば良くなるところもあるし、悪くなるところもあるので結局平均すれば変わらない感じなんです。」と答え、すると質問をしてきた経営者も納得したように「うんうん」と頷かれます。


 しかしこれには明確な理由があるように私自身は感じています。つまり何かと言えば、「景気がいい、景気がいい」と言っていてもそれは大企業の法人としての決算の話だけなのですね。なぜ大企業法人の決算がいいのかと言えば、もちろん不動産の活況とか、中国、東南アジアの特需などもあるとは思いますが、基本的にはバブル期以降相当長い期間人件費や外注費などの経費を圧縮したからなのですね。ですからあの最悪の時期を脱した現在企業の業績が良くなったといっても、それはいまだに社員の給料を抑えているからなのです。もちろん一部の好景気に沸く企業では給料の上昇は見られているはずですが、私が聞く限りでは、たとえ企業の業績が史上最高であったとしても社員の採用は控え、派遣社員を増やし、そして役員の報酬だけは上がる、というパターンであるように見受けるわけです。


 大企業の業績が良くても社員の給料が上がらなければどうなのかといえば、その社員や家族は消費額を抑えようと努力します。じゃあどうなるのかと言えば、彼らは一円でも安いものを求めて大手の量販店へ向かうわけです。そうなると近所の商店は競争力がないのでどんどん廃れます。そりゃそうです、量販店の売値より高い値段でしかメーカーや卸業者から仕入れられないのですから価格で量販店に勝てるはずがありません。


 大会社が価格競争を求めて外注先を整理し、価格競争力だけがある比較的力のある取引先だけを残して経費を抑えた結果業績は改善するものの、大会社の社員の給料はあまり増えないので彼らも価格競争力のある大手小売業者にしか買い物に行かない・・。そして生き残った外注先も同じことを繰り返し、企業業績は何とか繕うものの給料アップまでは行えないためそこの社員も大手小売業者でものを買う・・。そして大手小売業者は安くものを仕入れるために中小の卸業者を飛ばして大企業メーカーから直接取引で商品を購入する・・。つまりこうやってお金は大企業の間だけをグルグル回っているだけなのです。


 そこで余ったお金を誰が吸い取っているのか、といえば大企業の役員と税収が増える国や地方公共団体。大企業役員の年収はびっくりするくらい高くなっています。そういう彼らがどこでお金を使うのかと言えば、彼らは逆に量販店などには行かず高級百貨店などで上品にお金を使います、億ションなどを投資物件などで購入します。そういう流れになっているのでいくら景気が良くなったといっても結局街の小規模商店には誰もお金を落としていかない訳なのです。


 だから景気が良くなったといっても、表に出てくるのは大手の企業の業績が良くなるだけ。そしてそこの役員の報酬が上がるだけ。結局中小企業の景気が良くなるためにはまず大手企業の社員の給料を上げなければならないわけです。彼らの給料が上がって、彼らが家の近所の商店にお金を落とすようになってくれて初めて日本の社会全体の景気が良くなる訳なのです。


 まあ今は世の中本当にそういう風にお金のあるものの間でだけお金がグルグル回っているような仕組みになってしまっていますね。例えば先ほどのような大手企業やその役員の話。そしてもう一つ忘れてならないのは高齢化に伴う老老間相続。90歳の方が亡くなってその方の遺産を相続する方は60歳以上の方なんですね。つまり相続が発生しても相続人自身も既に老人の域に入ってきており、世の中全体を見た場合、相続による財産は老人の間だけをグルグル回っており、本当に子育てなどでお金が必要な中年以下の世代に回ってこないわけです。


 こういった現象がこれからも続くことを考えた場合、個人ではいかんとも対応のしようがありませんから、やはり税制や財政支援などで大企業以外の企業や老年者以外の世代を支えていく必要があるのではないでしょうか。例えば相続税の基礎控除額を減らしたり税率を変更することで課税対象を広げ、その代わり子育て世代などの若中年の所得税を大幅に減らすなり、生活支援金を出すなりすれば結果的に財産の世代間移転を促進することができます。また法人税等を減税すれば心理的効果として人件費等への支出増が期待できるので、法人の税負担を減らす方策を採るとかですね。


 とにかく今のようにある一部の間でだけお金が回るのではなく、社会全体でお金が回るような仕組みに変えていかなければ、中小企業などの業績は更に悪化し個人生活にも悪影響を与える恐れがあります。そうなると彼らの生活を支えるための社会福祉費が更に増大し大変なことになりかねません。そうなる前に社会全体でのお金の回り具合を変更させて中小企業経営者や社員が自力によって生活を支える仕組みに改善していく必要があるのではないかと痛切に感じています。

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