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「減価償却の自己金融効果」の続き!

2007 - 09/15 [Sat] - 03:17

 「減価償却の自己金融効果」についての続きです。もう一つついでに学問的に書けば、固定資産に投下した資金を流動化して現預金等で回収することを「減価償却の自己金融効果」と呼ぶわけですが、これこそが机上の空論であることを説明しておきたいと思います。

 この理論が言いたいことはわかりますよ。分かりやすく説明するなら前回のブログに書いたのと同じケースを想定して、B/Sにおいて当初100万円投資された固定資産は毎年の減価償却を通じて10万円ずつ簿価が減っていく。その減った分はB/S、P/Lでどうなっているのかと言えば・・、

  現金      50万円 / 売上高  50万円
  減価償却費 10万円 / 固定資産 10万円

 という期中の仕訳を経て、P/L上は40万円しか利益が計上されていないのに、B/S上の現金は50万円増えるということになるわけです。その差額10万円は何かといえば当初計上されていた固定資産が減価償却を通じて10万円減らされた金額ということになるわけです。

 これがつまり固定資産に投下された資金が減価償却を通じて流動資産に転嫁されたような効果をもたらすわけで、これを「固定資産の流動化」とか「減価償却の自己金融効果」と呼ぶわけです。

 でもね、勉強されている方々はよく考えておいて欲しいのです。我々は実務においていろいろな会社を見てきています。世の中机上の理論に登場してくる理想的に儲かっている会社ばかりではありません。上記の説明では確かにP/L上の利益と比較してB/S上の資金は減価償却費相当分だけ増加しているように見えます。しかしここで前提となっているのは上記の例にあるように「減価償却費を上回る利益がある」ケースであるということです。

 もし仮に上記の例が下記のようだったらどうでしょうか。

  現金       5万円 / 売上高    5万円
  減価償却費 10万円 / 固定資産  10万円

 このケースであればB/S上の固定資産は10万円減りますが、現預金は5万円しか増えません。確かに利益は△5万円であるにもかかわらずB/S上の現預金は5万円増えていますのでそこに自己金融効果的な10万円の差額は生じています。しかしこのようなケースにおいても固定資産の流動化や減価償却の自己金融効果は果たされていると言っていいものでしょうか?

 もっと極端なケースで言えば、

  現金       0万円 / 売上高    0万円
  減価償却費 10万円 / 固定資産  10万円

 といったケースの場合、現預金の増加額は0円であるにもかかわらず固定資産は10万円減るわけです。確かにP/L上の利益は△10万円でB/S上の現預金は増減0万円ですから、10万円の自己金融効果があるようにも見えます。しかしこの会社のように年間を通じて一円も利益を上げることができない会社に「固定資産の流動化」だとか「減価償却の自己金融効果」が実現されたかどうかを考える意味は在るでしょうか?

 答えは一目瞭然、ノーですよね。つまりいくら減価償却を行って固定資産を流動化させようとしたって、それに見合う収入(キャッシュの増加)が伴っていなければ固定資産の流動化など到底実現できるはずもないし、同様に減価償却による自己金融効果なども単なる机上の数字計算によるまやかしの話なのです。

 実質的な話をすれば減価償却自体に資金を増やす効果など全くないのであって、そもそもこんなボロボロの会社であれば減価償却を行う、行わないということについての実質的な違いは何もないのです。

 もう少し正確に「固定資産の流動化」とか「減価償却の自己金融効果」というものを考えてみるならば、減価償却自体にこのような効果があるという話なんかではなく、これは企業が経営目標設定を考える際に必要になってくる話なのです。

 つまり会社は減価償却費相当額以上の利益を実現させなければ固定資産に投下した資金を回収することができず(=「元を取れない」という意)、結局設備投資が失敗であるということを意味してしまいます。ですからそうならないために経営計画や予算を策定する際には「固定資産の流動化」と「減価償却の自己金融効果」の両方が実現できるような内容を立案し、そしてそれを実行しなければならない、という話になってくるわけです。

 企業経営にタッチされていない方などにはちょっと分かりにくい話かも知れませんが、この辺りの関係がよくお分かりになりますでしょうか?つまり結論から言えば減価償却自体には固定資産を減らす代わりに流動資産を増やす効果も、お金を貯める効果も全くないのです。

 それを実現させるためにはそれ相当の「売上」と「利益」を上げる前提が必要である、ということで、その前提のないところに「固定資産の流動化」とか「減価償却の自己金融効果」などという話をもってきたって何の意味もないし、何の役にも立たない、ということなのです。

 「固定資産の流動化」とか「減価償却の自己金融効果」などという言葉を持ち出すまでもなく、単純に企業は固定資産に投下した資金を売上と利益の確保を通じて回収していかなければいけないわけで、それができなければ借金まみれでいつか会社は潰れちゃうわけです。

 「100円のお金を使ったら最低でも100円のお金を取り返さなきゃ損しちゃう。」ということくらい小学生の子供でも分かる話であって、「固定資産の流動化」とか「減価償却の自己金融効果」なんていう訳のわからない用語を使って説明しなければならないほど難しい話でも何でもない、ということなのです。

 学問というものはとかく難解な用語を使いたがるものです。しかし現実の一般的な事象ではそんな難解なことなど発生していません。特に企業経営における会計などそれほど難しいことが起きているはずがないのです。「お金が入ってきた、お金が出ていった、その差額はいくらだ」そんなお話なのです。その単純な事象を難解な用語を開発して説明しようとするからこんなややこしいことになるのです。

 そんな難しい言葉を開発して理解させようとすることより、企業の経営や会計において大切なのは「いくらお金を使って、その結果いくら儲かったのか」ということであり、その単純な目標を単純に考えられるようにした方が遙かに有意義だと思いますね。

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