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誰が「減価償却の自己金融効果」なんて考えた!

2007 - 09/15 [Sat] - 12:56

 「減価償却の自己金融効果」なんて一体誰が言い出しっぺなのでしょうか。私はこの理屈のおかげで変なお客から何度も質問を受けて、そのたび何度も同じ説明をするのに分かってもらえなくてほとほと困っています。

 税理士試験の科目でも財務諸表論でこの「減価償却の自己金融効果」って勉強しますよね。私の記憶によればたしかこの自己金融効果とは「減価償却費は経費には計上されているが資金流出を伴わない経費であるため、その減価償却費相当額を内部に留保する自己金融効果を持つ」といった一節だったと思います。

 これだけ読めば「ああなるほどなぁ、確かに資金流出してないからお金は貯まってるかもしれんなぁ」と思いますよね、普通。それでもこんなの実際に会計や税務の実務をしている人から見れば単なる詭弁、まやかしの話であることなどすぐに分かることなのです。

 分かりやすい例でいけば、例えば初年度に100万円の設備を現金で購入して、これを10年で償却するとしましょう。めんどくさい計算は省いて単純に初年度に100万円の現金流出と10万円の減価償却費計上、その後毎年10年間10万円ずつ減価償却費を計上することとします。

 お金の流れだけに着目してこの資産購入と減価償却費の流れを追っていきましょう。初年度は100万円で資産を購入したときに100万円を外部に支払っただけで、減価償却費についてはそれを計上する・しないにかかわらず手元資金に一切増減をもたらしませんので「△100万円」となります。

 では翌年以降を考えていけばどうでしょう?翌年以降は毎年10万円の減価償却費を計上するだけですが、減価償却を行ったからといって手元の資金は実際には一切増減しませんから資金面に対する減価償却の効果は「0円」です。

 つまり結局のところ金銭面から見るならば「資産を購入した初年度に資金が100万円流出した」という事実だけが残るということなのです。ここには「減価償却の自己金融効果」なんてあるでしょうか?減価償却の自己金融効果によって資産購入後2年目から毎年減価償却相当額の10万円が留保されていっているでしょうか?そんなの一円も増えていませんよね?

 「減価償却の自己金融効果」ってまるで初年度に投資した100万円がその後の減価償却を通じて会社に毎年10万円ずつ資金の増加をもたらして、10年後には最初に投下した100万円が全額回収されるかのような錯覚をもたらす説明なのですが、そんなことあり得ないのはこの例でお分かりのとおりです。10年経っても減価償却自体で資金が回収されることなど一切ありません。

 じゃあ減価償却はなんの意味もないのか、といえば確かに税金面での影響はあります。10万円の減価償却費を計上すれば減価償却を行わない時と比較して毎年4万円(実行税率を40%と仮定)税金を減らす効果はあります。

 しかしこれはあくまで最初の年に100万円の現金を投下して資産を購入しているのだから、その資金投入相当額に対して税金が安くなるのは当然の話であって、別の言い方をすれば、経営者から見た場合本当は資金投下した初年度に40万円の税額を減らして欲しいと言いたいところなのに税制の縛りのおかげで全額損金計上できず、仕方なく10年間に分けて毎年4万円の税金を減らす方法を甘んじて選択せざるを得ない、という話にすぎないのです。

 ここに「減価償却の自己金融効果」なんて存在するでしょうか?そんなものあるわけありませんよね?単純に外部に支払った経費に対して税額が減る、というそれだけの話であって、それは「ボールペン10本を千円で買って事務用品費に計上したから、今期の税金は買わない場合と比べて400円少なくなる」という話と一緒なのです。
こんなの節税でもなんでもありませんし、ましてや「自己金融効果」なんて訳のわからない、いや、わかったような言葉を使ってさも凄い効果があるかのように会計学で教えるような話では全くありません。

 こんなことを会計学や財務諸表論などで教えたりするから、本当の理屈が分かってない人(=バカ(?)失礼)が「減価償却費を10万円計上しているのだから、会社に10万円お金が残っていなきゃいけない。なのに残ってないのはお金が不正に外部に流出したからじゃないのか。理由を追求しろ!」などと言いがかりをつけてきて困るわけです。

 こんな言いがかりをつけられると「お前、バカじゃねぇのか?ちゃんのお金の動きを追いかけてみろよ。」といいたい気持ちをグッと抑えて上記の説明を何度もするわけですが、偉い大学の先生から習ったというアカデミックな意識が強すぎるせいか我々税理士の説明を理解しようとしない輩もいるんですよね。本当に迷惑な話です。

 それでももし間接法でキャッシュフロー計算をするときに減価償却費を当期利益に加算して計算する点に「減価償却の自己金融効果」が見られるのではないか、という疑問をお持ちの方のために書き添えますと、キャッシュフローを計算するときに減価償却について加算させるのは、他の勘定科目について各々キャッシュフロー効果を考えて加算・減算するのと同じ理由によるだけのことで、別に「減価償却の自己金融効果」が存在しているから行うわけではありません。

 もし仮にキャッシュフロー計算における影響をもって「減価償却の自己金融効果」理論が成立するので在れば、逆にキャッシュフロー計算において資金流出効果をもたらす「借入金の返済額」などはさしずめ「借入金返済の自己資金流出効果」といったところでしょうか。

 そこまで言うのなら「前払費用の自己金融効果は?」とか「保険積立金の自己金融効果は?」なんて話まで出てきてわけわかんなくなっちゃいます。そんなのいちいち拾い上げたらキリがなく、まったくバカバカしい話です(笑)。

 とにかく困るんだよね、「減価償却の自己金融効果」理論。即刻こんななんの意味もない理論を会計学や財務諸表論で学習することは廃止してもらいたいもんですね。無意味で全く非実用的、そして机上の空論的なこの自己金融効果理論を覚えさせられる学生達の身にもなって欲しいもんです。

 とかく学問とは、難しい用語をこねくりすぎ。難しい言葉を使えば「賢い」と思っている学者が世の中に多いので困りますね(笑)。

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