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配偶者控除制度の問題点

2014 - 10/26 [Sun] - 09:34

先日のブログには、税制上の配偶者控除が主婦の社会再活躍の妨げになっているわけではない、と書きましたけれども、一つだけ実務をしていて感じる問題点を。それは、配偶者控除だけにかかわらず、年末調整という制度そのものの問題点についてですね。

年末調整という制度はあまり海外にはない制度だそうで、企業などにお勤めの社員さんたちの確定申告とほぼ同等の作業を企業に行うことを義務付けるもので、ある意味とても合理的な制度なんですが、いろいろと問題があるのも事実なんですよね。

とりあえず、配偶者控除に的を絞って書きますと、問題点は「年末調整の作業を行なう時期が早過ぎる」ということだと思いますね。もちろん配偶者控除だけでなく扶養控除も問題点は一緒なんですが、子供などが対象となることが多い扶養控除に関してよりも、配偶者控除のほうがずっと多くの人に関わってくることだと思います。

どういうことかといいますと、大企業などでは毎年この時期になってきますと年末調整の作業が始まってきますよね。で、保険料控除などの証明書と一緒に「配偶者の源泉徴収票、あるいは収入の見込額を提出してください」と会社から全社員に依頼がありますよね。でも、これがそもそもこれがおかしいんです。

だってこの時期に平成26年中の奥さんの収入額なんてわかるわけないじゃないですか(笑)。まだ10月が過ぎてないんですよ?10月のパートやアルバイト収入すら確定していないこの時期に11月、ましてや年末ギリギリまで働くかもしれない方にとっては、12月の給料が確定しないことには奥さんの平成26年の収入なんてわかるわけないんですよね。

だって世の中には、月末締めの月末払いで給料を支払うところだって決して少なくないんですからね。そうなると奥さんの源泉徴収票なんてどんなに早くても12月31日の入手、中小事業者などであれば翌年の最初の頃、ということになってしまいますよね?

それなのに、大企業の人事担当者たちは今のこの時期に奥さんの源泉徴収票や年内の収入見込額を提出しろ、と旦那に言ってくるわけです。もうそこからしておかしいのですが、その理由は、年末調整はあくまで「年内に支給した給与に対して税金を精算する」という制度なもんですから、各企業は年内最後の給与支払日に合わせて年末調整を行おうとするからなんですよね。

つまりもし11月末締めの給与を12月10日に支払う会社があるとすれば、年末調整は12月10日に支給する金額までを対象に行うことになるので、11月末で締めた給与が年内最後の給料になるのです。そして、多くの企業は年内に支給する最後の給与支給日に合わせて年末調整を行い、源泉徴収票を社員に渡そうとするので、11月末の給与計算が終わると同時に年末調整をしなきゃいけなくなっちゃうんですよね。

本当のことを言えば、年末調整って確定申告と同じ位置づけで、あくまで暦年中の給与額に関して行なうものなんですから、配偶者控除を受けようとする奥さんがいる場合には、奥さんの年内の給与受取額が最終確定してからご主人の年末調整を行なうべきなんですよね。しかし、多くの企業ではそこの社員さんの年内最終の給与支給日に合わせて年末調整を行なうケースがほとんどだと思います。

その理由は、年末調整は年末最後の給与支給日に行なうこと、と税法で決まっているからなんですよね(所得税法 第190条)。とは言え、私達が年末調整を行なうような小規模の事業者であれば給与支払いが月末払いのことが多いので、現実問題として私達が毎年12月末までに各関与先の年末調整を行なうことは不可能ですから、殆どの場合翌年の最初にワ~っと集中して年末調整業務を行い、源泉徴収票を各関与先にお渡しする、という流れになります。

しかし人事部がしっかりしているような大企業であれば、あくまで税法に則って12月最後に支給する給与やボーナスの支給日に合わせて年末調整をしますので、多くの場合、パートで働いている奥さんの年内給与支給額が不明な状態で旦那さんの年末調整を行なうことになっちゃうのです。

そのような奥さんの年内給与受取額が不明な状況では旦那さんの正確な年末調整ができなくなるので、どうするか?ということになるわけです。そうなると「じゃあ、年末調整のいろんな資料を会社に提出する時点では、奥さんの給料は配偶者控除が受けられる103万円以下、ということにして会社には報告しておき、奥さんが受け取るパート収入を年間103万円に収まるように調整してもらおう」ということになっちゃうわけです。

つまり、これが多くのパート主婦たちが年間収入103万円と配偶者控除の適用にこだわる本当の理由だと思うんですよね。そう、その理由は配偶者控除そのものの制度にあるのではなくて、「年末調整」という制度、そして「年末調整を行なうタイミング」に最大の問題点があるわけです。

先日も書きましたように、税制上の本当のことを言えば、別に奥さんの収入が103万円を少しくらい超えようが、135万円になろうが、ただ単に旦那さんの配偶者控除の適用がなくなって配偶者特別控除額の金額を計算すればいいだけの話なんですが、それを年末調整で行おうとすると会社の12月最後の給与支給日までには報告が間に合わないんですよね。

そしてもうひとつ税制上の話をすれば、たとえ会社に報告した給与額の金額を実際よりも少なめに報告した結果配偶者控除を適用して年末調整されていたとしても、その後奥さんのパート収入が確定したあとで、税務署に行って旦那さんが確定申告を行って配偶者控除や配偶者特別控除の正しい適用を行って税金を再計算すればいいだけの話なんです。

しかし現実的には、日本の多くのサラリーマンは自分の給料に関して確定申告を行なうことなどほとんどなく、年末調整ですべてを終わらせてしまいたいと思っているんですよね。だから今のこの時期に会社に対して「奥さんの給料は年間103万円以下」と報告したサラリーマンたちは、奥さんに対して「何が何でも年間の給与額が103万円以下に収まるようにしてくれ!」って頼むことになるわけです。

…そう考えていけば、安倍総理や財務省が目指そうとしている「配偶者控除廃止による女性の社会進出の後押し」というのは、真の目的である増税から世間の目をそらすための単なる詭弁であることがよく分かるんですよね。本質論で言えば、主婦たちの自由な社会活動を阻害しているのは、配偶者控除でも配偶者特別控除でも、それが設定している103万円の壁があるからでもなく、「年末調整という制度」に本当の問題点はあるんですよね。

そう、だから簡単にいえば、年末調整を行なうタイミングをあと一ヶ月くらい後ろにずらせばいいだけのことなんです。私達税理士が小規模事業者さんの年末調整を行っているのと同じようなタイミング、すなわち「年末調整は翌年1月末までに行なう」とでも所得税法の一部を変えて、年末調整の期間を少し後ろに延ばせばいいだけの話なんですよね。そうすれば企業や納税者サイドとすれば、かなり時間的な余裕ができて多くの問題がクリアになると思うんですよね。

そうすることができれば「103万円という配偶者控除の収入制限があるから、これを理由として主婦が社会で活躍しようとしない」という訳の分からない配偶者控除廃止論の論拠は一気になくなってしまうんですよね。そう、そう考えてみれば、配偶者控除の廃止論なんて、本質的には年末調整制度の不備に基づく問題点をすり替えて、都合よく増税を行なうための理由・詭弁として政府や財務省が利用しているだけだということがよく分かるはずです。

それよりも、この記事の前の方にも書きましたけれども、そもそも私は年末調整という制度そのものに大いなる疑問を持っていて、基本的にはこの制度そのものを廃止すべきという考えを持っています。なぜならその問題点は

「なぜ社員に給与を支払っている企業が、単に『社員に給与の支払者であるから』という理由だけで社員の確定申告を行なうのと全く同じ目的である『年末調整』なる業務を行い、さらには納税まで行い、そしてそのための膨大な事務負担のための人件費・システム構築費用などを企業側が負担しなければならないのか?しかもそれを行わなければペナルティまで課せられるとは、民間がお上に対するボランティアを強制されている前時代的な制度で、実に理不尽極まりない」

という一点に集約されるからです。こんな年末調整制度などというものは、ただ単にお上が自分たちの事務作業を軽減させるために法律を定めて、給与支払者である企業などにその作業を押し付けているだけなんです。本来は、他の国でそうであるように、サラリーマンの源泉徴収税額の精算は、各サラリーマンが税務署に確定申告を行なうことで精算されるべきなんですよね。そして、最初から源泉徴収税額を多めに徴収しておけば、確定申告を面倒臭がって行かないサラリーマンは税金を損するだけなので、国税側から見れば確定申告に来ない奴はほっときゃいいだけのことなんです。

しかもこれからの時代はマイナンバー制度や税金の電子申告だってできる時代。ソフトだってどんどん進化して、手軽に個人が自分で確定申告が出来る環境が整ってくれば、所得税の確定申告のために国税側が大幅に人員を増やさなくても済むかもしれません。

でも、とにかく、多少国税が確定申告のために人員を増やさなければならないとしても、各サラリーマンの確定申告事務を各企業に罰則付きで義務化させているいまの状況は、どう考えても健全な国民主権に基づく民主国家が行なう税務処理の姿ではありません。

ま、それはそれとしまして話を本題に戻せば、主婦が社会で再活躍しようとしない問題、そしてパートやアルバイト収入を年間103万円までに抑制しようとする問題は、「配偶者控除」という税制上の制度に起因しているのではなく、「年末調整」という税制上の制度に起因している、ということなんです。

その点について多くの方たちに理解していただき、そして「主婦の社会活動を促すために配偶者控除を廃止しよう」という増税のための詭弁にだまされないようにしていただきたいと切に願うところですね。

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