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配偶者控除の見直しと女性の活躍

2014 - 10/24 [Fri] - 00:30

安倍総理は女性の社会進出を後押しさせるものとして、所得税における配偶者控除の見直しに積極的な方だと伺ったことがあります。でも、税務を生業としている私などから見てみますと、税務上の配偶者控除を廃止するかどうかなんて、実は大した問題では無いんですよね。

だって考えてもみてください、配偶者控除を取りやめることでどれほど損をすると思いますか?所得税の配偶者控除額は38万円で所得税率は5%から40%。そうであれば実際に税金が減る金額は19千円から152千円。来年から最高税率が45%になりますが、それでも171千円。

一方住民税のほうは、控除額が33万円で税率が一律10%ですから、控除額は33千円。じゃあ配偶者控除を受けることで、実際に少なくなる税金は52千円からせいぜい204千円。配偶者控除って、ものすごく得するように思いますが、実際の効果なんてそんなものです。最高に控除を受けたとしてもたかだか20万円税金が安くなるかどうか、程度の話なんです。

その程度の効果しかないのであれば、「配偶者控除を受けたいから年間の給料を103万円に抑えなくっちゃ!」なんて思ってちまちま働くより、たとえ配偶者控除が受けられなくなったとしても、がんばって年間140万円くらい稼いだほうが絶対に得になるってことは、だれだってわかることですよね?

しかも、103万円を超えてしまったとしても、配偶者特別控除が今度は受けられるようになって、収入の上昇に応じてすこしずつ控除額が減ることになります。なので、今の配偶者控除の制度は、103万円の壁を超えてしまったからといっても即座に家計に大きな痛手を被らないような制度にうまくなっているんです。皆さんよく誤解されていますが、奥さんの給料がたくさんになったからといっても、ご主人の税負担が急に増えて損になるとか、「これだったら嫁さんの給料を103万円までに抑えておけばよかった」なんて思う必要なんてないんです。

ですから、冒頭に書きましたように、配偶者控除なんて別に女性の社会進出、特に主婦層の再就労のたいした障害になんか、端からなっていないのです。そんなもの、別にいますぐ廃止したってしなくたって、女性の就労問題解決には大した影響なんてないんです。普通のサラリーマンなんて、せいぜい所得税の最高税率なんて20%くらいの方がほとんどなんですから、38万円✕20%+33万円✕10%=109千円くらいの税金を得してる程度の話なんですよ。それくらいの額、ちょっと主婦ががんばってパートで働けばすぐ稼げるくらいの金額ですやんか。

そんな税制上の配偶者控除より、本当に主婦の社会再進出を阻害しているのは、社会保険料なんですよ。以前から何度もこのブログに書いていますように、社会保険というのは本当に不可解なところがいっぱいありまして、その最たるものの一つが専業主婦に関する第3号被保険者。つまり、年間130万円までの収入の低い主婦については保険料を払わなくても、ご主人の一人分の保険料だけで奥さんも国民年金(老齢基礎年金)を払っていることにしてくれる、というアレです。

だって、これ、どう考えたっておかしいと思いませんか?だって収入が低い主婦である、ということだけを理由にして保険料の支払いが全額免除になるばかりではなく、満額の老齢基礎年金がもらえちゃうんですよ?なんで?国民年金加入者である夫婦の場合、たとえ奥さんの所得がゼロだとしても、ご主人が二人分の国民年金保険料を支払わなければならないことと比べると、どれくらい不公平な制度であるかということがどなたでもお分かりになると思います。いったい誰がこんな制度を考えたんでしょうか??

でも、年収が130万円を超えた瞬間にいきなり厚生年金と健康保険の負担額が年間で18万円くらいのしかかってきて、手取り額は減るわ、それでいて受け取る年金もたいして変わらないのに年金保険料の負担と、その上に健康保険料まで払わないといけなっちゃうんですよね。だったら「じゃあ、130万円に行かないように調整しよう」と世の中の主婦層が思うのは無理ないと思いますね。

もし20歳で結婚して、そのごずーっと仕事しなかったとしても、ご主人の一人分の厚生年金保険料を収めるだけで、奥さんは満額の老齢基礎年金がもらえるんですからね。もし結婚していない男性がいるとすれば、その独身男性と専業主婦の奥さんを持つ男性が負担する厚生年金保険料は全く同じであるにもかかわらず、受け取る年金は年間数十万円違うんですからねぇ。そう考えれば、いかに保険料の負担と受益のバランスがおかしいかということがわかると思います。

結局主婦の社会進出を阻害しているは、この第3号被保険者という制度だと思うんですよね。国民年金と同じように、厚生年金に加入しているご主人の奥さんも国民年金保険料と同額を基金に収めなければならない、という制度に変えられたとすれば、そりゃ主婦だって家でのんびりしてないで年金保険料相当額くらいは稼ぐようになりますよ。

年収130万円までの主婦については、年金保険料を払わなくてもいい、なんて制度があるから、できれば130万円を超えるような収入を稼ぎたくない、と思う人が出てくるのです。そんなもん第3号被保険者なんて無くしてしまって、国民は必ず自分の保険料は自分で払わなければならない、ということにしてしまえば、子育てが一段落した主婦は家計を助ける意味でも一生懸命社会で働こうと思うようになりますよ。

もし本当に政府が女性の社会進出を後押ししていきたい、と考えているのであれば、見直すべきポイントは税制上の配偶者控除ではなく、厚生年金における第3号被保険者の廃止だと思いますね。本気で女性の活用を考えるのなら、このどう考えてもおかしい第3号被保険者の制度を一番に見直すべきだとおもいますね。

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