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教育資金贈与非課税制度のヘン

2013 - 04/09 [Tue] - 00:09

 教育資金について1,500万円までは贈与税の非課税にする制度ですが、これ、やっぱり考えれば考えるほどヘンな制度ですね。

 最初このアイデアを大綱で見たときには、「なるほど、そうやって贈与税を非課税にして資金を世代移転させるのはイイかも」と私も思っていたんですが、やっぱりこれは本筋論からいっておかしな制度ですね。だって基本的に贈与税の非課税制度を設ける目的というのは、「今の日本では高齢者が多くの資産を握って死ぬまで離さないので、贈与税を緩和させることで相続開始前に世代間移転をさせて下の世代の消費をブーストさせ、経済を活性化させよう」という点にあるわけですからね。

 ところが今回の教育資金はその目的に全然適ってないんですよね。

 もちろん、ジジババから教育資金の贈与を受けることで、子を持つ親の世代は資金的に余裕ができて消費を増やす可能性はあります。でもこれが親世代の預貯金を増やすことに役立つだけだったら?それじゃ、ただの「金持ち相手の贈与税節税制度」になっちゃうだけなんですよね。

 そもそもこの制度、利用する家族は金持ちに限られます。貧乏人や普通の家族がこの制度を使う必要性など「全く」ありません。そこが一見「金持ち優遇制度」に見えて、その実は「庶民のための贈与税節税策」だった相続時清算課税と大きく異なる点なのです。

 税理士さんの中には「相続時清算課税制度なんてなんの役にも立たない無意味な制度」とおっしゃる方もいるみたいですが、それは大きな間違い。実際の話、庶民にとってはとても使い勝手のよい贈与税節税策です。そもそも庶民は相続税が課税されるほど財産を持っていませんし、2,500万円も贈与税の非課税枠があれば十分な人が世の中にはたくさんいるんです。

 そもそも相続税がかからない人であれば、財産を持っている親が死ぬ時まで不動産や預貯金の資産移転ができないのはものすごいストレス。どうせ将来相続税がかからないのなら、今財産移転を行っても課税上も弊害がないワケですから、そういうご家庭においては相続時清算課税制度はものすごく役に立つのです。

 この制度は実際に資産を下の世代に移転させ、その資産の使途は自由なわけですから、これは経済対策としても大きなメリットがあります。しかし今回の教育資金非課税制度は全くの別もの。だって資金を使うのは子供がある程度大きくなって学校などに行きだしてからの話ですからね。

 ええ、この制度の経済効果は「今」じゃなくて「将来」なんです。しかも使途が限られています。でも、じゃあなぜこんな制度を作ったか、といえば、事実上は「教育資金をジジババから孫に非課税で贈与する」という形を取りながら、実質的には「その金をもらった子供の親が1,500万円の定期預金をジジババからもらったのと同じだから」なのです。つまり、その贈与によって「孫の親」を資金的に潤わせるのがこの制度の目的なんです。

 つまり「教育資金の贈与」という形を装っていながら、実際には「単なる親(ジジババ)から子(親)への資金贈与」「相続税対策」なんですよね。それが1,500万円まで非課税になるわけですから、これは明らかに金持ち優遇税制に他なりません。「将来の子供の教育資金として1,500万円までの出費を気にしないで、今お金を使ってくれ」というのがこの制度の本当の目的なんですよね。

 それができる人は、そりゃお金持ちだけでしょう(笑)。普通の人なら孫の教育資金を出すとしても、それは実際に必要になって出します。わざわざ前もって渡す人なんてまずいません。だからこの制度を使って将来の孫やひ孫の教育資金を前渡しする人なんて、普通は結構なお金持ちの爺さん婆さんしかいません。

 本来相続税・贈与税というものは金持ちから過度な資産を徴収するための税制であるにもかかわらず、今回の教育資金の非課税制度はそんな金持ち家族に対する1,500万円非課税枠の増額をプレゼントしているようなもの。こりゃおかしな制度ですよ、ホントに。

 もし将来の被相続人と奥さん、そして子供2人(孫はそれぞれの子供に2人で、計4人)がいる家族でこの制度が使えるのであれば、今回の税制改正で相続税の基礎控除は従来よりも2千万円+400万円*3人=3,200万円減りますが、この制度のおかげで最大1,500万円*4人=6千万円の贈与税非課税枠、すなわち相続税対象外の部分を捻出することができます。

 だったら、差引くと、逆に2,800万円も相続税の非課税枠が増えたのと同じ効果があります。これは完全に抜け穴ですよね。なんのために相続税の非課税枠を縮小するのか意味ありません。だってお金持ちで孫やひ孫がそこそこいる家族ならこの制度を使うことで従来よりも事実上相続税の基礎控除を拡大させているのと同じだからです。しかもこの制度を使って、上記のようにフルに6千万円も孫にお金を上げられる人は金持ちしかいません。

 なんじゃそりゃ、って感じしませんか?これ、ただの「期間制限付き金持ち対象の相続税・贈与税回避策」ですやんか。でしょ?しかも最大30年間有効な相続税対策なんですよ。おかしいですよねぇ、これは。

 ・・いや、穿ってみればそういうように見えますよ、この制度は。実際にこの制度を利用したって、資産の世代間移転による経済効果があるより、単なる相続税節税策にしか効果はないですよね?ははーん、だから信託銀行が顧客囲い込み策としてこの制度を金持ち連中に売り込む作戦を考えたんだな、きっと。表向きには「教育資金の贈与」、しかし実質は「相続税回避策」。

 これに乗ってきた自民党もさすがですね。民主党ならきっとこんな税制「金持ち優遇税制だ!」ってワケのわかんない党内左翼から文句が出てアウトになったでしょうね。信託銀行業界としては、タイミング的にもよかったわけだ。

 なるほどなぁ、考えたなぁ、信託銀行のブレーン達(笑)。税理士じゃこんな「偽装作戦」考えつきませんよね、真面目だから(笑)。たしかにこれなら「相続税節税策」として金持ち連中の注目を信託銀行に集めることが可能ですよね。

 さすがだ・・。

≪注≫
 やはりわたしはいい加減な話をブログに書いてしまっていたようで(笑)、別に預け入れる金融機関は信託銀行だけでなく、銀行や証券会社でも構わないです。ただいずれにしても金持ち相手の商売に熱心な方たちであることは間違いないです。彼らがタッグを組んでこの制度を作ったのかどうかは知りませんが、とりあえず税理士が蚊帳の外だったことは間違いなさそうです(笑)。

 詳しくは => 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

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