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教育資金一括贈与非課税制度

2013 - 04/03 [Wed] - 12:02

 4月1日から、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度がスタートしましたね。なんか確定申告で私達が追われている間にあっさりと法案可決、導入されていたんですね(笑)。お恥ずかしい(笑)。

 お商売に熱心な信託銀行は早速この制度を利用した商品を販売していますね。この税制のそもそもの言い出しっぺが文科省か財務省かどこかは詳しく調べていませんが、しかし相当初期から信託銀行が絡んでいたのは間違いないでしょうね。

 普通に考えてみれば分かりますが、この制度を利用する方々はかなりの資産家に限られます。少しくらいお金を持っていても、通常であれば実際に教育資金が必要となる時点で贈与してもらうのが普通ですから、前もって1,500万円も子供や孫のためにお金を出せる人たちはかなり層が限られてくると思います。

 だからこそ信託銀行が絡んでいるんでしょうね。かねてより資産家相手の商売を拡大したい信託銀行にとっては、こういう「節税」に絡めて今まで縁のなかった資産家たちの財産を預かり、そして様々な形で彼らとの商売を増やしていくことができることは願ってもないことでしょうからね。

 そもそも税制大綱が発表された時点で、この制度に信託銀行が絡んでいるところを見て「アレッ」とは思ったんですよねぇ。そしてこの短期間での商品発売の様子を見ていても、最初から政府と信託銀行との間で話はできていたんでしょうね。

 ま、そりゃそんなもんかな、とは思いますが、現実的にどれほどの利用があるかはやってみなければわかりませんよね。そもそもこの制度、税理士が関わる余地はあまりないように見えます。下記が三井住友信託銀行の商品説明ページですが、この制度のどこにも税理士が絡むところはありません。はじめから終わりまで全部信託銀行がやっちゃいます(笑)。

 教育資金贈与信託〈愛称:孫への想い〉

 大綱が発表されたときから「この制度の税務手続きはどうするんだろう?」とあれこれ考えていましたが、見事です、贈与税という税金に絡む制度にもかかわらず、税理士がかかわる部分は一切無いですね・・(笑)。このあたりから見ても、この制度の設計に信託銀行が大きくかかわっていると推察できるところですね。

 信託銀行から見れば、うっとうしい税理士をすっ飛ばして資産家とのコネクションを直接作ることができますからね。仮に税理士がかかわる場面があるとしても、せいぜい子供が30歳になって信託終了時における精算時の贈与税申告くらいなものでしょうか?

 しかもこの制度、資産の預け入れは平成27年12月末までとなってますが、受贈者が30歳になるまで継続するわけですから、最大平成57年(!)まで顧客とかかわることができる、実に信託銀行にとっておいしい制度ですからね。どこの国の制度を参考にしたのか、自分で考えたのか知りませんが、よくこの制度を文科省や財務省に提案したもんですね。賢い(笑)。

 ・・なので、この制度、たぶん税理士とはほとんど無関係に話は進んでいくはず(笑)。言ってみれば、保険みたいなもんですね。しかも保険よりもずっと税理士がかかわる余地がないという(笑)。だから制度の説明は税理士が関与先に説明するわけですが、実際には税理士が仕事することや、税理士のメリットはほとんどないですね。あるとすれば、自分の顧客を信託銀行に紹介するときの紹介料くらいなもんでしょうね(笑)。税理士はせめてそこで信託銀行からしっかりとゼニ取ったりますか(笑)。

 ただ、この制度どこまで利用されるかはよく分かりません。確かに資産家は後世にできる限り財産を残したいと思っている方が多いですが、しかし外部の金融機関などをうっとうしく思っている方々が多いのも事実。そんなもの、この制度を利用でもしようものなら、それこそ死肉にたかるハイエナのようにことあるごとにしつこい営業を受けるでしょうからね。それも最長30年も。これは嫌がる人多いでしょうね。

 だから本当に資産家がこの制度を利用するかどうかはよく分かりません。そもそも子供や孫が30歳になるまでご自分が元気であればこんな制度を利用する必要すらないので、ニーズとしては「子供や孫が30歳になるまで生きているかどうか分からない」という、相当な高齢者か健康に不安を持つ方々だけが対象ですよね、きっと。ま、保険みたいなもんでしょうか。

 この制度、なんとなく需要があるような気もしますし、いざ実際に走り出したらそれほど需要がなかった、という両極端な気がしますね。何しろ、この制度設計の最大の問題点、というか、胡散臭い点は「信託銀行が制度にがっちり絡んでいる」ところですね。はっきり言って「なぜ信託銀行?」という気がしますもんね。

 別に普通の銀行でも特別口座を作るなりして管理すりゃいいじゃないか、って気もしますよね。教育資金として資金を使った署への報告にしたって、別に領収書と通帳のコピーでも添付して自主申告なり、税理士に申告させりゃいいじゃないか、って感じですもんね。なぜそこまで信託銀行に全幅の信頼を置き、すべての手続きを信託銀行「だけ」にさせるのかが疑問。

 ふうむ、そう考えると結構不思議な制度なんですよ、これは。もちろん金持ちの資金を早めに後世に贈与させる、という意図は分かるんですが、しかしそもそもこの制度、資金は確かに子や孫の世代に移転するわけですが、実際に消費されるのはずっとずっと先ですからね。だとしたら、「高齢者の持つ財産を世代移転させて、それを消費させて経済を活性化させる」という目的にはほとんど適ってないと思うんですよね。

 だから「単なる金持ちの相続税、贈与税対策であり、そして信託銀行にビジネスチャンスを拡大させるためだけの制度なんじゃないの?」って疑念が消えないんですよねぇ。後世に移転した資金がすぐ消費されるような、住宅取得資金の贈与非課税のような制度ならいいんですけど、将来に消費される資金、しかも使途が限定される資金について非課税にする、っていうのはいかにも経緯が不自然な制度、という気は正直感じますね。

 ま、何度も言いますけど、税理士には実務上ほとんど関係のない制度なんで、「信託銀行さん営業がんばって!」としか言いようがないですね(笑)。もちろん、関与先には告知する義務は税理士にあるとは思いますが、なんとなく労多くして・・って感じもしますね(笑)。

<後日注>
 訂正します。なおこの制度の資金の預け先は信託銀行だけではありません。銀行、証券会社でも構わないそうですので、悪しからず。

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