税理士もりりのひとりごと

税理士もりりがぶつぶつと日ごろの出来事についてひとりごとを綴っていきます





  税理士もりりのひとりごとのナビゲーター   トップページ > スポンサー広告> 社会・経済 > 65歳定年制  

スポンサーサイト

-- - --/-- [--] - --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

65歳定年制

2013 - 02/08 [Fri] - 19:59

 日経新聞の記事に、65歳定年に関して企業が賃金カーブ見直しを行おうとしている内容のものがありました。私自身は元々この制度には大反対なわけで、日本企業と日本社会にとって決して良い結果をもたらさないと大いに危惧しています。

 しかし、この65歳定年制導入については、少なからずそのメリットを強調する意見もあるわけですが、しかしそのメリットそのものが、この制度を支持するためのこじつけであるような気もするわけです。そしてそのこじつけの1つが今回の記事です。



 この記事を見ていただいても、最後の方に気になる内容があるわけです。それは「専門的な知識や技能を持つ高齢者を戦力としてどう活用するかは今後企業の成長力向上を左右する可能性がある」という文章から続く内容。

 確かにこの記事だけ見ていれば「確かにベテラン社員だけが持っている技能や経験を生かさなければ、会社のレベル自体が下がってしまう恐れがある。なるほど、だったらベテラン社員もうまく生かしていかなきゃならないな」という感想を持ちがちなんですが、それが違うんです、全然。

 まず、そもそもの原因をよく考えてみましょう。なぜそのような技術伝承、技能伝承の心配が出てきたのでしょうか?60歳定年が原因だから?いえ、それだったらそのような問題は今に始まったことではありません。私たちが若かった頃は55歳定年でしたから、昔の方がもっと深刻な問題が生じていたはずです。

 じゃあなぜこのような問題が取り沙汰されるのか?それは「ベテランが持っている技能や経験をきちんと若い人に伝承させていないから」ですよ。つまり60歳定年制が問題なわけでもなく、ましてや定年を65歳に延ばせば解決できる話でもないんです。

 きちんとベテランが持っている技能や経験を次の世代の人達に伝えることを、会社としてしっかりと取り組んでこなかったからこうなっただけの話なのです。その、会社の努力不足を、さも社会問題であるかのような話にすり替えているところが、この記事の問題点なわけです。

 世代間で技術や知識、経験を伝承させていくことは、そんなもの、この世に組織や企業というものが誕生して以来、もう何百年、あるいは千年以上続いている話です。今に始まったことじゃありません。それを65歳定年制導入に際して、さも65歳定年制導入のメリットであるかのように伝えることは、それはただ単に今までの怠慢を更に後延ばしするだけの話なのです。

 そもそもなぜベテランの技術や経験が次世代に引き継がれなかったのかといえば、それはリストラや採用抑制によって次世代をになうべき人材をきちんと育ててこなかった企業に問題があるのです。決して社会全体の問題ではありません。きちんとしている企業はきちんと技術や経験を伝承させていますし、それになにより、すべての高齢者が企業にとって歓迎して残ってもらうべき技術や経験を持っているとは限りません。

 そもそもそのような素晴らしい技術や経験をもっている高齢社員などは、実際にはどの会社にもそれほど多くなく、ほとんどが惰性だけでルーチンワークをこなしている「給料泥棒」であるのです。ごく一部の素晴らしい技術者・技能者の存在をクローズアップさせることで、高齢者全体の雇用の必要性に話をすり替えるのは明らかに間違っています。

 何度も言いますが、そういう一部の優秀な高齢者達を会社に残すためだけに65歳定年制を導入し、そして若者の雇用の機会と、給料上昇を抑えることには大きな社会的弊害があることを本当にもっと多くの人達が理解すべきです。

 特に少子高齢化社会の到来が避けられない日本においては、若者たちの所得を増やして子育て環境を整えることはなによりも大切なことなのです。ご批判を受けることを承知で言えば、今の高齢者を生き存えさせるよりもっともっと大切なことです。だって将来の高齢者の生活を支えるのは将来の若者たちだからです。日本社会には必ず一定の数の若者が存在していなければ、社会として成立していかないのです。

 しかも子供を産んで育てられる年齢というものは、どれほど高齢化が進もうと変わりません。なぜなら人間の生物としての子育て可能期間というのは変わらないからです。最近は年齢による卵子の劣化というものも言われていますが、一般的に女性については30代半ばくらいまでしか安全に健康な子供を産むチャンスはないと言われています。

 つまりその年齢までに子供を「生まなければならない」のです。女性が90歳まで生きられるようになったと言っても、女性の体が子育てに適している期間は、そのほんの前半1/3の間に限られているのです。

 そういう人間としての子育てに適した期間の大切さについてももっと多くの人が考えるべきです。だってその期間に結婚して子供を産まなければならないからです。そのためには、その年齢の男女の所得を増やしてあげなければならないのです。あるいは将来子育てを行っても生活を心配しないですむだけの給料をあげなければならないのです。

 正直言って「技術や経験の伝承」なんて、全然たいしたことないですよ(笑)。だって戦後のことを考えてみて下さい。第二次大戦後、多くの働き手が戦争で亡くなり、ほとんどの人達は先の世代から技術や経験、そして経営ノウハウについても伝承されることなく社会で働いてきたんです。それでも戦後の日本企業は大変な復活を遂げたじゃないですか。

 教えてもらえなかったノウハウは、自分達がその現場に直面して修得すれば良いだけのことなんですよ、はっきり言えば。確かに修得に時間はかかるかもしれませんが、しかしそのことだけを高齢者の雇用を引き延ばす理由にするのは絶対的に間違っています。そういう論理が通るのであれば、高齢者は70歳になろうが、80歳になろうが、雇用し続けなければならないことになります。

 70歳でも80歳でも、場合によっては90歳になっても現場に居続けることができる税理士の世界を見ていれば、多くの税理士さんは高齢者を現場に残し続けることの弊害については理解できるはずです。そのような世界では、高齢者が現役として働き続けたからといって、その人達の知識や経験が次世代に引き継がれる効果など全くありません。そして彼らが社会の役に立っているとも思えないはずです。

 むしろ、新しい技術や知識についていけなくて、社会にとってはどんどん役立たずになっていく高齢者がのさばるだけの「弊害」しかないことを、多くの税理士さんは感じているはずです。そして彼らがのさばることによって、将来を担うべき若手税理士の伸びしろを大いに奪っていることも実感しているはずです。

 そういう定年の無い社会にいる、そして「技術・経験・知識」だけで商売をしている私たちだからこそ、65歳定年制を導入した場合の弊害についてもわかる部分が多いと思うのです。だから私は何度もこのことについては批判を繰り返しますし、たぶんこの制度を導入することによるメリットよりも、社会全体、そしてなによりも子育て世代に対する弊害のほうが大きいと危惧するわけです。

 とにかく、上の世代がいなくならない「閉塞感」というものは、下の世代にしかわからないことですし、それはサラリーマンであれば痛いほど感じていることでしょう。ある日突然元上司が60歳を超えたからといっても、立場上上司になったあなたがその元上司に対して「佐藤君」とは呼べないでしょうし、「佐藤さん、この仕事いついつまでに、このレベルで仕上げて下さい。頼みますよ。」なんて日本社会ではなかなか指示できないですよ。

 はっきり言えば、そういう元上司達には目の前からいなくなって欲しいんです、元部下から見れば。だから会社人事でも若くて優秀な人が出世したら、元上司達を自分が持っている人事権を使って飛ばすでしょ?それは元上司が自分の下にいるとうっとうしいからそうするんですよ。そういうことができる人はいいですが、できない人はずーっとストレスを溜めたまま働き続けるんですよ?それも大きな弊害の1つです。

 とにかく、65歳定年延長制のメリットは「年金の支払いを企業に肩代わりさせること」この一点しかないのです。他には何もないのです。ええ、全くありません。65歳に定年が延びたから技術や知識の伝承がスムースになるとか、彼らの経験が会社や社会の役に立つ、なんてことは100%ありえません。そんなものその気になれば60歳定年だろうが、55歳定年であろうが、必ずできます。

 本当にこんな新聞記事に騙されたらあきません。ウソばっかりです。ゆとり教育の時と一緒です、必ず10年くらい経った時、いえ、もしかしたら5年程度かもしれませんが、この65歳定年制度の弊害に多くの人が気がつき、そして企業と社会が激しく疲弊し、劣化していくはずです。

 でもそうなってからでは本当に立て直すのが大変になるのです。若者を見捨てる社会は本当にダメです、だって若者は日本の「将来」そのものだからです。若者を大切にしない社会は、「将来」を捨てた社会だと言えるのです。

 日本がそんな国になっちゃいけません。もっと幸せな将来を期待できる日本にしていかないとダメです、本当に。65歳定年延長、本当に早期の撤廃か、あるいは解雇権を会社側に自由に認める制度に改めるべきです。

関連記事

トラックバック

http://moriri12345.blog13.fc2.com/tb.php/1652-c5440c62

 | HOME | 






プロフィール

もりり

Author:もりり
当ブログにお越しいただきありがとうございます、税理士のもりりです。のんびりと、時々辛辣に日々感じたいろいろなことを自由に書いていきたいと思います。

最新記事

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。