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税理士事務所勤務経験なしで独立

2012 - 10/22 [Mon] - 19:07

 今日の検索ワードの中に「税理士事務所勤務経験なしで独立」というものがありました。最近の就職難や、税理士事務所自体の経営状態の悪化に伴って、税理士試験に合格したものの、事務所に就職することができずに直接独立する方法がないか模索する方が増えてきているということなのかも知れません。

 あと数年経てば、そういう方たちのためのインターン制度のようなものができるかもしれません。税理士試験合格者も、そうなれば既存の税理士事務所に勤務しないで独立しやすくなるかもしれませんね。ただ、税理士に限らず、弁護士でも司法書士でも医師などでもそうだと思いますが、試験で勉強した内容だけでその道の仕事がこなせると思うことだけは大間違い、ということは先輩としてお伝えしたいなと思います。

 どんな業務を専門分野として選択するかにもよるかも知れませんが、資産税専門で他の税務は一切やらない、と言い切れる税理士以外は、基本的に「税務・会計・経営改善案・社会保険・年金」あたりの知識を一通り持っていないと依頼者の質問や要望に応えることは難しいでしょうね。

 で、先ほどの5要素を見てお分かりのように、税理士試験で勉強するのは5要素のうち「税務・会計」の2つだけです。しかも税務のうち普通の試験合格者は3科目しか勉強しませんが、実務では国税通則法に始まり、所得、法人、消費、相続、地方、当然これに関連する租特が日常の業務では必ず必要になります。特に意外とポイントになるのは事業者における所得・法人・相続のカラミで、経営者が個人的に何かをしようとする場合には必ずと言ってよいほどこれら3税法の関連を確認する必要が出てきます。

 その上、それほどの重要性はないとはいえ、結構お客さんから頻繁に訊かれるのが印紙税や不動産を売買したときの登録免許税や不動産取得税などの税額やコストなど。「そんなこと習ったことないよ」と言いたいところですし、そもそも印紙税や登録免許税などは税理士の業務範囲外なのですが、お客さんはそんなことなど知りませんから「税金のことは税理士に訊いておけば解決できる」と思ってなんでも訊いてきます(笑)。

 もちろん、そういう問い合わせに対して「あ、それは税理士の業務範囲外なんです。済みません。税務署や県税事務所に訊いてください。」と答えるやり方もあるでしょうが、実際のところそんな応対をすれば「なんや、この税理士なんも知らへんねんな」とバカにされるのがオチです。

 だってお客さんは「税理士は税金のことならなんでも知っている」と思っているのです。そしてその期待に応えてあげないと、お客さんは他に尋ねる人がいないのです。だから、なかなか「勉強していないので知りません。わかりません。」とは税理士はお客さんの前では言えないものです。

 税務についてそれだけマスターしなければならないのに、その上本来全くの専門外である社会保険や年金、経営改善策に関するアドバイスまで求められるのです。結局私たちがお付き合いする事業者さんは基本的に中小事業者で、彼らはそれほどいろんな専門士業者と知り合っているワケではないので、最もいろんな質問を投げかけやすい税理士になんでも訊いてくるのです。

 先ほども言いましたように、その質問に対して「知らない」と税理士が答えるのも確かに対応法の1つです。しかし現実的にはそのような対応をしているとお客さんは増えません。やはりお客さんから見て「あの税理士に相談したらいろんなことが解決する。助かるわ」と思ってもらえることがウリになるものなのです。

 もし本当にわからない場合でも、その問題を解決してくれる適切な弁護士や司法書士などの専門職を紹介できることもウリの1つになってきます。とにかくお客さんから見て、税理士が「問題解決の窓口」になってあげることが1つのポイントだと思うのです。

 また、他にも相続税・贈与税の問い合わせがあると、必ず絡んでくるのが民法です。民法は他にも事業経営についても大きくかかわってきます。でも民法など税理士試験では相続税の試験で少し習うくらいで、基本的には全く勉強しません。

 ですから税理士業を実際に行うということは、税理士試験で習ったことの他に、ざっと拾い上げただけでもこれだけのことをそれなりに知っておかないと全然仕事にならないと言ってもよいです。これだけのことを一通りマスターするには、私の経験から言ってもそこそこお客さんがあって仕事がある税理士事務所で最低5年は仕事をこなさなければ難しいと思います。

 いえ、もちろん税理士事務所を看板を上げて商売をするのは、いまの税理士法によれば試験合格の前後を問わず2年間の実務経験さえあれば誰でも可能ですよ。しかしそれじゃお客さんからの要望に応える業務を行うことは、まずできないと思います。

 中には、ハッタリをかまして「できます、できます。任せてください!」と軽く請け負って、実務の判断は事務員や外部の同業者のアイデアを借りてやるような商売上手な税理士もいます。しかしそういう税理士は、確かに商売上手なのでお客さんを短期間でかき集めてきますが、結局実務がメチャクチャなので時間が経つと、レベルの高い仕事を要求してくるお客さんと必ずトラブルになって来ます。なぜならそういう税理士は「きちんとした税理士の仕事」がどんなものであるか知らないからです。

 そして税務調査があったりすると、その税理士が行ったメチャクチャな税務判断が元で多額の追徴やペナルティが生じてお客さんから訴訟されたりします。そんなことを繰り返していくと「あの税理士はメチャクチャ」という評判がどこからともなく立つことになり、結局長い目で見て得策ではないと思います。意外と世間はいろんなところでつながっていますからね。信用って、本当に大事なものなのです。

 ま、そういうことで、確かに就職難や年齢などが理由で試験合格と同時に開業したいと考える方もおられるとは思いますが、相当な経済的支えがある場合を除き、私個人としてはあまりオススメしないですねぇ。というのも、「試験合格してから税理士事務所に5年勤務しても、直接独立開業して5年経っても、同じキャリア5年の税理士じゃないか」と思われるかもしれませんが、全然仕事のない独立開業事務所と、お客さんを多数抱えている税理士事務所で修行するのとでは、同じ5年でも経験できることが全く違うのです。

 仕事のない独立開業事務をであれば、下手すれば5年経っても、あるいは10年経っても全然一人前になれないかも知れません。それが自分にとって本当にトクなやり方なのかどうか、考えてみることも大切だと思いますね。よくこのブログにも書くことですが、だって税理士は「お客さんにトクをさせてナンボ」の商売だからです。

 「お客さんにトク」をさせるのが仕事なら、「自分自身のトク」も冷静に計算できなきゃダメじゃないでしょうか(笑)。でないとお客さんの役に立つ税理士にはなれないと思うんですよね。まぁ、私はそう思うわけです。

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