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とんでもない安値報酬を打ち出す税理士

2012 - 05/17 [Thu] - 10:40

 最近もとんでもなく安い報酬額を打ち出して顧客を募集しようと目論んでいる税理士事務所、というか税理士仲介業者のような宣伝がありますね。もうビックリするような、月額何千円からとか。

 でもこの仕事をしていて思うんですけど、そういう安値を打ち出した広告を打ったって、税理士の場合は逆効果だと思うんですよね。つまり世間一般の方々は単なる「安さ」を税理士には求めていないと思うんです。

 そういう安売り広告を見ていても、「話の合う税理士、融資や補助金対策をしてくれる税理士、云々」と宣伝文句にあるわけですが、普通に考えて月額何千円程度で記帳代行から補助金対策までやってくれる税理士なんているわけないんですよね(笑)。

 どこまで自分の身を削ったらそこまでのサービスができんねん、ドアホ、ってところで、そんな報酬でそこまでなんでもかんでもやってくれると思ったら大間違い。私ならそんなお客が来たら断ります、「こんな報酬額ではできません」って言って。一体こっちを時給ナンボで働かせようと思ってるのよ、バカにすんな(笑)。

 それに税理士側から見たって、そんな安値だけに惹かれて集まってくるような客ばっかりになったら、ただ忙しいだけで全然儲かりません。年間報酬20数万円のお客さんばかり集めたんじゃあ、20件集めてようやく年間売上500万円。40件集めて1千万円です。

 40件なんて、まともな仕事をしようと思ったら絶対に1人で回せない数ですから、人を雇いますよね?そのアシスタントに2百万円くらいの給料を払ったりしてたら何してんのかわかりませんよ。結局安値で顧客をかき集めるんなら、まともなサービスなんか提供できないんですよね。そんな値段で仕事やってたら、自分のクビを絞めるだけなんですよ。

 ですから貧乏になりたいのなら税理士さんも安売りを前面に打ち出してお客を集めればいいと思います。いくら安売りを前面に出す税理士が広告を打っても、既存の税理士にとっては大して影響はないと思います。それは民商がいくら耳障りのよいことを言っても、みんながみんな民商になびかないのと一緒。民商になびく人は、やはり何か特別な思想・信条に基づいていることのほうが多いのです。

 それにやってみればすぐわかると思いますけど、例え安値を前面に広告を打ち出したとしても、意外と世間の事業者さんたちって、ただ報酬が安い、ってだけじゃ税理士を乗り換えないもんです。結局のところ、それは多くのまともな事業者たちは値段の高低だけで税理士を選んでいるわけではないからなんですね。

 つまり依頼者が期待している税理士像、って税理士が思っているのとはギャップがあるってことなんですよね。税理士側から見れば「報酬額を下げて、信頼感を打ち出せば関与先はナンボでも増える」と思っているのかも知れませんけど、そんなもんじゃないんです。逆に依頼者の側から見れば「安いだけの税理士なんか胡散くさ!」って思っているんですよね。

 それとDMや電話営業などをする税理士さんもいるみたいですが、これも絶対逆効果。自分から「なんでもヤルヤル」と売り込む税理士って、やっぱり依頼者から信用されないんですよ。私たちの商売って、信用されるからこそ仕事をもらえる商売なんですよね。だって依頼者は税理士に全てをさらけ出すわけですからね。

 だからペラペラペラペラお調子よく営業トークをしゃべるような税理士に仕事が集まるわけでもないんです。別に口数や愛想なんてそこそこでもいいんです。きちんと失礼がないような礼儀があって、そして信頼感が得られる応対をしているのであれば。

 一言で言えば、勘違いしているんですよね、仕事がなくて一生懸命営業をしている税理士さんや、その手助けをしている冒頭の業者たちも。「安さを前面に打ち出せば客を集められる」って勘違いしてるんです。仮に集まったとしても、そんなんで集まってくる客なんてロクなのがないんですよね、結局。

 でも、別に私は「税理士は安売りするな」とは言いません。したい方はいくらでもすればいいと思います。だって営業スタイルはそれぞれですからね。ただ、それは大きな市場ニーズからかけ離れた場所での戦略ではないかな、という気がしているというだけの話です。

 サラ金事業者や、サラ金の過払い請求を請け負う弁護士や司法書士のように、ある特定の低所得者が溢れるニッチマーケットでヤクザのように荒稼ぎをしようと思うのであれば、税理士の安売りもアリだとは思います。しかし、もしもっと「まともな」事業者を相手にして税理士業を行おうと思っているのであれば、何度もこのブログに書いたことがありますように、同じ努力をするのなら、やっぱり実を結びそうな努力をしたほうがよいのではないかと思うのです。

 なので、税理士が営業を行うやり方は、安売りと安請負とは違う部分を刺激するほうが効果的ではないかと、私自身は強く実感しています。税理士さん自身が依頼者の立場に立って想像したときに、あなたなら値段の安さばかりを前面に打ち出す税理士に仕事を頼みたいと思うかどうか考えてみれば自ずと答えは出ると思います。

 「安いか、安くないか」は依頼者が勝手に判断すればいいのです。こっちから「安いでっせ」という必要はないんです。依頼者自身がわからなければ、今どきネットでも使って勝手に調べます。要するに私たちは「安い」以外のエサで依頼者を釣れるようにしなければならないのです。

 そう考えてみれば、税理士商売って過当競争といわれながらも、安売り競争にはまだ巻き込まれにくいだけ恵まれた商売なんです。ただ値段でお客が集まるわけではないだけに、ゼロから顧客を集めていくのが大変なんです。だから新規開業している若手税理士さんが苦労するんですよね。通常の商売と同じ営業のやり方が通用しない世界だから。

 私もそこに気がつくのにかなり時間がかかりました。いろんなことを営業戦略としてやってみましたが、どれも「全く」といってよいほど効果はありませんでした。しかしこちらが意図していない意外なところからお客さんは増えるもので、結局当初私が考えていた営業方針が間違っていたことに時間が経ってようやく気がついたのです。

 税理士に対して依頼者が求めているものは、通常のお商売とは全く違うんです。税理士には税理士マーケットにあった営業戦略というものがあるのです。それを理解していないと、客が増えないばかりか、事務所のイメージダウンという逆効果すらもたらす恐れがあるのです。

 でも戦略さえ間違えないで、安売り以外の営業活動、営業戦略を遂行していれば、時間がかかってもいつか必ず安定的に顧客が増える時が来るんですよね。要はそこまでいかに耐えられるか、っていう話なんです。

 よくいうでしょう、「慌てる乞食はもらいが少ない」って。税理士の営業はまさにそれだと、私自身は強く実感しています。慌てたらあきまへん、絶対に。慌てているのがわかるからお客さんが全然増えないんです。

 それと「自分を凄そうに見せる営業」や「さも自分は賢くて、キャリアもあって、優秀な税理士」って高らかに宣伝するような営業方針も小規模事業者相手の営業としては多分ダメですね。そんな「自分達とは違う偉い税理士」さんに仕事をお願いしたいなんて思ってないんですよ、普通の街の事業者さんは。

 もっと「自分と同じレベルの税理士」「自分や事業のことをスッとわかってくれそうな税理士」とお話ししたり、仕事を頼みたいと思っているんですよね。これが開業したての税理士さんが最も理解しておくべき点ではないかと私自身は実感しています。

 税理士さん自身は「自分がいかに有能であるか」を売り込むことが、顧客からの信頼を得やすいと思っているんですが、それが逆効果なんですよね。誰だって偉い人に上から目線でしゃべられるのはイヤなんで、「有名大学卒業」「元大企業勤務」「大きな事案の経験あり」「難しい国際税務が大得意」なんて自慢してくる税理士に仕事を頼みたいと思ってないんですよね。

 そんな偉い税理士さんよりも、「別に普通の学校を出て、苦労して資格取りました。長くやってるんで実務は得意ですよ。」っていう程度のキャリアの税理士さんの方が安心できる側面があるんですよね。依頼者だって、税理士とできる限り近い立場に立っていろんな相談がしたいと思っているのです。だから自分と同じレベルにたってくれる税理士さんが好きなんです。

 まあ、そんなこんなで、とにかく慌てないで、依頼者が本当に何を税理士に求めているのか、どんな税理士像が好きなのか、そういうことに対応していくことが重要なのではないかと私自身は思っています。

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