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役員賞与損金不算入の不思議

2006 - 05/31 [Wed] - 11:17

 私がこの仕事を始めてから今までずっと疑問に思い続けて今でもどうしても納得できない税務処理があります。それは法人税における「役員賞与の損金不算入」ですね。

 制度をご存じの方なら多分一度は疑問に思ったことがおありだと思うのですが、これって単純に二重課税ですよね?法人から役員に対して支払われた賞与には源泉税がかかってきちんと所得税がかかっているにもかかわらず、役員賞与は法人税の計算上損金計上できないのでその金額に対して法人税も課税されるんですよね。普通の社員の給与であれば源泉所得税だけで、法人税法上は当然損金に計上される事と比較すれば、この制度の不思議さがよく際だつと思います。

 勿論、この制度の存在する理由として二つのものがあることは私も承知しています。一つには会社が儲かってくれば法人税が課税されるが、それを払わないで済ませるための調整弁として決算役員報酬が利用されることを防止するため。結局そのような利益調整をされると法人税が全然徴収できないため、ペナルティ的に税務政策上損金不算入としているということでしょうか。

 もう一つは旧商法において、役員賞与は利益処分項目とされていたので、税法上も商法との整合性をとって決算上は損金不算入であるべきとの立場をとっているというものです。まあ現在のように旧商法と法人税法の方向性が全く反対を向いているのではないかと思えるような改正が乱発される中で、これだけは旧商法と整合をはかろうというのはいささかこじつけも過ぎるという気が個人的にはしています。

 制度上の理由付けはそのようであったとしても、本当のところの理由がどうしても理解できません。まさか多くの税理士先生このような子供だましのような理由に納得しているとは到底考えられません。しかし今までいろいろな方にこの制度の理由を質問してきましたが、結局今日に至るまできちんと私が納得する答えをもらえていません。ある方はもっともらしく「いや、法律でそういう処理をすることになっているからしょうがない。」とおっしゃいましたが、それが本当のところ我々税理士が従っている本当の理由かも知れません。

 しかしどう考えてもこの制度おかしいはずなのです。まず先ほどの一つめの理由ですが、法人の利益調整に役員賞与が使われると法人税が取れない、という理由については、正直「それがどうした」というのが私の感想です。そんなもの理由になってませんよ、実際。だってこういう理由が存在しているのは法人税率の方が所得税率より高いためだと思いますが、それじゃあ法人税から取っても、或いは所得税から取っても税額に差異が生じないように税率の調整などを図ったらよいではないですか。

 それに実際問題として、個人の税率だって住民税と合わせれば最高50%も税額を納めているわけで、そういう意味では役員賞与からの所得・住民税だけで十分な税収になっているはずではないですか。ですから役員賞与が事実上それほどの租税回避行為とか脱税になっているわけでもないのにこのような規定を設けて更に法人税額を徴収する目的が全く理解できません。所得税をきっちり取っておいてその上法人税までなぜ払わないとならないのか全く分かりませんね。

 そして二つ目の理由、こちらの方が表向きにはこの制度の存在理由そのもののように言われていますが、旧商法との調整についてです。皆さんご存じのように確かに旧商法では役員賞与は利益処分項目でした。しかし5月施行の会社法では役員賞与は費用処理されるべきものとなっています。こうなると役員賞与の損金不算入制度は全く根拠を失ってしまうわけで、この制度の存在理由を課税当局として今後どう理由付けするのかとても興味あるところです。

 とはいえ平成18年度改正で会社法の絡みから事前届け出による役員賞与の支給と、非同族会社による利益連動賞与は損金算入ができるようになりました。しかしこんな事前届出を必要とする制度など所詮つじつま合わせの妥協策に過ぎず、結局本質的には法人の所得調整に使われないことを前提の制度として残されたままとなっています。

 とはいえもしかすると今年の改正をきっかけとして今後会社法の普及と共に役員賞与は法人税法上も費用項目へと移行していくのかも知れません。しかし最初に書きましたとおり、私自身はこの「役員賞与の損金不算入」制度そのものに当初から疑問を持っており納得していません。ですから今回のような子供だましのような改正を行うのではなく、早急に役員賞与が、少なくとも会計上きちんと源泉処理されるような内容については、法人税法上も何の問題もなく損金算入されることを願って止みません。

 それと同時に、最初に書きましたようにこんな制度はだれが考えてもおかしなはずなのに、何をしたり顔で税理士が納得しているのか全く理解できません。こんなおかしな制度は早急に廃止させるように税理士ももっと声を大にしなければいけないんじゃないんでしょうかねえ。

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