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19年税制改正大綱

2006 - 12/15 [Fri] - 01:51

 平成19年税制改正大綱が自民党から公表されました。内容をザーッと読んでみましたが、今回の大綱には去年のようなアッと驚くようなものは無いように見受けられます。それよりもむしろ「どうしちゃったの?」と訊きたくなるような「優しい」税制改正の内容も多く含まれており、やや拍子抜けするような感覚すらあります。


 本当に今回の大綱は以前から漏れ伝わっていた内容がほぼそのままで、我々のようなごく中小企業や個人の税務にかかわっている者達から見て驚くようなものはありませんでした。勿論海外の企業や信託を利用して租税回避を行っていたような方々に対しては、今回の大綱では多くの部分を割いて改正をしてきていますので影響は大きいのかも知れませんが、我々のような普通の人たちや普通の税理士にとってはまずかかわることのない内容なのではないかと思います。


  まあかいつまんで拾い上げていきますと、
①減価償却の残存価額の廃止
②資本金等一億円以下の法人に対する留保金課税の除外
③特殊支配同族会社の役員給与損金不算入の緩和
④相場のない種類株式の相続税評価方法の明確化
⑤相場のない株式等への相続時清算課税制度の特例
⑥上場株式等の配当、譲渡所得の軽減税率の延長
⑦住宅ローン控除の特例
⑧バリアフリー改修促進税制
⑨国際的租税回避の防止策の措置
⑩電子申告特別控除
⑪e-tax促進措置
⑫オンライン登記申請の税額控除
⑬寄付金控除額の引き上げ
⑭ファイナンス・リース取引の税務の整備
⑮役員給与税制の整備
といったところが主に個人や中小企業に影響のありそうな内容でしょうか。


 先ほども書きましたけれど、ぱっと見た限りでは本当に拍子抜けするほど「良い」税制改正になっているように見受けられます。これも景気が上向いてきている恩恵なのでしょうか。①や②は新聞などで話題になっていたものがそのまま記載されています。③も新聞では検討中となっていましたが、結局対象外企業を所得800万円から倍の1,600万円まで緩和したようですが、施行は19年4月以降事業年度開始法人が対象です。特殊支配同族会社の税制については私は基本的に賛成していませんが、まあ留保金課税が中小企業から廃止される現状との兼ね合いもあってその対象企業を絞ってきたことは一定の評価をするべきかも知れません。


 ④については会社法になって種類株式の発行がいろいろとできるようになり、当然これを相続対策として使う企業が増えることが予想されています。しかし議決権がある株と無い株を同じに評価するのはどう考えてもおかしいですし、そのほかの種類株式の相続税評価が不明確というのでは困りますので当然の改正と言えるでしょう。18年改正の特殊支配同族会社税制の際に議決権の有無で対象企業を絞る項目がありましたので、種類株の相続税評価についても何らかの改正が入ることはある程度予想されていたことではあります。


 ⑤もイイですね。相続時清算課税の限度額と贈与者の対象年齢を拡大し、企業の活性化に役立てようというものなのでしょうか。まあ相続時清算課税自体は結構利用に慎重な判断が求められますが、こういう主に中小企業の株式の所有者の世代交代を促進させて、企業が活性化し、企業の株式価値を増大させることができれば長い目で見て大きな節税策にもなりますから良い制度なのではないでしょうか。


 ⑦は所得税と地方税の税率変更が19年から行われる事による措置ですね。⑨はハッキリ言ってよく分かりません(笑)。私は海外企業を利用した節税策についてはほとんど無知に近いので、ちょっと本格的に勉強してみようかなと思っていた矢先だったのですが、何となくやる気が失せるような改正のように見受けます。正直中身はほとんど理解できていませんのでこういう方面の税務に明るい方に解説はお任せします。


 ⑩⑪⑫はもう最近話題になってなって仕方がないe-tax関連の改正ですね。基本的には良い改正ですよ。⑩は納税者自身が住基カード等の身分証明書を取得して電子申告する際に19年または20年分の申告時に一度だけ5千円の税額控除をしてあげようというものです。以前ブログに税理士に対して申告支援金のようなものが交付されるのでは、ということを書きましたが、結局それは無しでこちらの内容になったということのようです。まあこれは住基カードとカードリーダーを取得した費用の控除と理解すればこんな金額が妥当なのではないでしょうか。


 結局はいわゆる電子申告のインセンティブといわれるものは想像していたほど大したものではなく、それよりも⑪に見られるような添付書類の提出不要策や税理士の証明書だけで電子申告ができるといった電子申告制度そのものの見直しが今回は重点的に行われたようです。そういう意味では個人的には良い改正だと思いますが、施行が19年分申告以降というところがいささかがっかりです(税理士の証明だけで電子申告できる改正は19年1月4日から)。せっかく電子申告を一生懸命しようと考えていた矢先だったので、せっかくなら18年分申告から導入できるようにして欲しかったですね。しかし電子申告関連の改善策はほとんどが所得税関連で、政府・自民党がいかにe-tax普及に気合いを入れているのかが見て取れる気がします。法人の電子申告などどうでもええ、とりあえず3月の個人確定申告を何とかせえや!という感じですね。


 まあ後はちょこちょことした内容変更のように見受けますが、⑮について役職変更の際に給与が見直された場合の定期定額制度の整備や以前であれば当然損金に落ちていた年一回の役員給与(ただし非同族法人のみ)が事前届出不要になったのは良い改正ではないでしょうか。


 ⑭の所有権移転外ファイナンス・リースの税務上の取り扱いについては、以前新聞で読んだときにはきっとリース会社、特にオリックスの宮内氏あたりから圧力がかかって大綱には記載されないかな、と思っていたのですがあっさりと含まれていましたね。まあ法人の決算・申告上からいえば大した違いはないのかも知れませんが、資産計上する必要性や償却しなければいけないといった実務上の煩雑さ、或いは償却資産税の申告との絡みから一部のリース取引については敬遠されるという影響があるかも知れませんね。


 ざあっと私たちの日常の税務に関係在りそうな内容を中心に大綱の内容を見てみましたが、本当に今回は何となく良い改正内容だけが目立つ内容になっているように見受けます。勿論私に関係ないと読み飛ばした部分にこそっと改悪内容があるのかも知れませんが、まあ通常の税務においては大して影響がない部分ではないでしょうか。先ほども書きましたが国外法人を利用した租税回避策や信託に関する税制の整備について細かく見ていけば、これらを使って今まで美味しい思いをしてきた方々にはとても痛い改正内容なのかも知れませんが、私自身がほとんど利用することもなくまた理解もできていない内容なので分かりません。しかし15年や18年の大綱のように一般の多くの納税者に大変な打撃を与えるような改正内容とは思えませんので無視してもいいのではないかと思っています。


 とにかく今回の大綱はとても「善良な」税制改正内容に見受けます。勿論国の財政危機が声高に叫ばれている現在において課税範囲を狭めるだけの改正が行われることを素直に喜ぶわけにはいかないとも思います。もしかすると目先の増税よりも景気拡大による息の長い税収増を政府は期待している結果の改正内容なのかも知れませんが、それよりも近い将来に必ず行われるであろう消費税を始めとする基幹税の抜本的見直しと増税をスムースに行うために、今回は高度な政治判断によってこういった「優しい」税制改正内容に落ち着いたと考えるべきなのかも知れません。


 とりあえず今回の改正内容だけを見れば、良いと言っていいのではないでしょうか。

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